◇金秀蓮(キム・スリョン) ◇他者の痛みへの想像力欠如――守ろう、出発点の平等 県教委幹部や校長らが次々と逮捕、起訴された大分県教委の汚職事件は、不正採用から昇任・昇進人事に発展し、08年度採用者のうち21人が失職する前代未聞の事態となった。当初は一部の不心得者がカネで採用枠を売り買いした事件とみられたが、捜査が進むにつれて大分県の教職員採用や昇進は、そもそも公正さとは程遠い「コネ優先」のシステムだったことが明らかになる。今、贈収賄罪で裁かれているのはカネの問題だが、この事件が私たちに問うている本質は、自力で人生を開こうとする人の希望を奪う、コネの不公正さそのものだと思う。 取材をしながら最も「許せない!」と感じたのは、合格依頼のあった受験者の点数をいとも簡単に加点し、無関係の受験者の点数を減点してまで不合格にさせていた事実だ。 捜査機関が復元した、改ざん実行役の元県教委参事、江藤