タグ

ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (19)

  • 私の異常なお見合い・落日篇  または私は如何にして大人の病でたおれお見合い相手からメンズとのホモ関係を疑われるようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    血尿、つづいて、ゼリー状の物体がぬらぬら先端から噴出するようになったので、三年前から患っているEDが悪化したのかと恐慌して、泌尿器科に赴き診察を受けたのが一週間前。は、ヒニョーキカってなんか〜東欧の〜語感があるよね〜と軽口をたたき、モスクに似た睾丸をいじって不安な一週間をすごしたあと、たびたびの泌尿器科。厳しい表情のドクターから、不特定多数の異性と遊んだり、風俗にいきましたかと詰問されて動揺、二年ほど前に「電車でGO!」というイメクラにて「逆痴漢コース」で戯れた恥をカミングアウトしたが、そんな昔ではなく最近ですと一笑に付された。それから深刻な顔をしたドクターが口をひらいた。「フミコさん…聞いてください…」 受付で料金を払う際、患者さん顔色が悪いけれど大丈夫ですかと声をかけられ、それから、ふらふら、暮れなずむ街の光と影のなかを歩いて居酒屋に向かった。シノさんに会うためだ。これを聴くと元気にな

    私の異常なお見合い・落日篇  または私は如何にして大人の病でたおれお見合い相手からメンズとのホモ関係を疑われるようになったか - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 他人の愛人と密会しました - Everything You’ve Ever Dreamed

    連休最後の夜のことだ。スノコの上でトランプの七並べに興じていた僕にゴーストが囁いた。《愛人と会いなさい…愛人と会いなさい…》。声が枯れていて咄嗟にわからなかったがゴーストではなく母親の声だった。僕のらくらくホンにははっきり聴き取れる機能がついているのだけど、しっかりしている僕にははっきりいって邪魔な機能、無駄なものまで聴こえてしまう。母の鼻息。母の鼻毛のざわめき。母の背後に流れるカラオケ。ま、ゴーストになられても困るのだが。インポテンツとの戦いで疲弊した僕には葬式を出す経済力も精神力も備わっていないからだ。 母の話を要約するとこうだ。母には親友がいる→親友には35年連れ添った旦那がいる→その旦那が突然死んだ→死因はわからない→死んだ場所が悪い→【試験に出る】場所愛人のマンション→【過去問】腹上死かもしれない→腹上死の可能性は捨てきれないが親友が狂乱→腹上死としか思えないが親友の狂乱はおさま

    他人の愛人と密会しました - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2010/05/25
  • スターリンは死んだ - Everything You’ve Ever Dreamed

    ユカ。かつて欧州で活躍した日系ルーマニア人スパイと同じ名前を持つ君について今こうして語ることは寂しい。君は覚えているだろうか。むさぼり合うように愛し合った、あの日々を。もしかすると、愛をむさぼったのは、私だけだったのかもしれない。君はマグロだった。 君の反応は悲しいほど希薄なものだった。機関から、非公式ではあるが、「雷帝」と揶揄された私の幾万の激しいピストンは、遂に一回の喘ぎを触発することもかなわなかった。誇り高きマグロ女。それがユカ、君だ。おかげで私は寿司屋の看板を見かけるたびに、あの、粉雪のように埃が舞う部屋で激しく交わった時間を思い出してしまう。 ディティールは異なれど結末は同じだった。上。下。左。右。前。後。いつも、私は、君で、果てた。そうだユカ、北陸のイカ漁を知っているか?私から放たれたみぞれ雪が朝陽を跳ねかえす姿は、水揚げされたばかりのホタルイカに似て、夢のように美しい。 そろ

    スターリンは死んだ - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 私はこれでキャバクラをやめました - Everything You’ve Ever Dreamed

    小向美奈子のクリアファイルにためたキャバクラ嬢の名刺をひと月かふた月ごとに処理している。でも今日で「処理」は最後だ。僕は、キャバクラを、やめた。 アフターってあるじゃん。 お気に入りのキャバ嬢を店が終わったあと、美味しい焼肉屋があるよ、C調に誘い、飲みい歌い、やれやれ電車がないタクシーもこない、どうしようか、やれやれ弱った、やや、あそこにたまたま宿泊価格が大きく表示されて明朗会計で入り口が陰になって出入りが人目につきにくい宿泊施設が、ささ、風邪をひいてはいけない、なんて、ひと気のない、暗い場所へと誘うハラショーなワザ。 僕は、この十年間、高級な車が手にはいるくらいの金額をつぎ込んだけれど、とうとうアフターの夢叶わず、おかげで、こないだの日曜の夕方はひとりで『アバター』、今だって、洗濯物でいっぱいになったカゴの横で乾かずに湿ったままのシャツを着て、レベッカの「ムーン」を聴きながら、ひとり、

    私はこれでキャバクラをやめました - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 私の異常なお見合い・風雲篇 または私は如何にしてEDの誇りを胸に忍者プレイを強要してくるお見合い相手を説き伏せたか - Everything You’ve Ever Dreamed

    お見合いから9ヶ月、シノさんとのわけのわからない関係は相も変わらずつづいていて後悔先に立たず僕もまったく立たず現在に至る。シノさんとは春先にお見合いをした25歳の娘さんで興味/戦国武将(西軍派)趣味/コスプレ(コスプレネームはノッピー☆)&ドール(輸送は楽器ケース)のスザンヌ似のDカップ。シノさんとは「オヤカタサマー春日山城ですうー(添付画像:山道)」「草や木が生えてますねー」「どこの城かわかりますかあー(添付画像:石)」「小田原城かなー」「ブー。ヒント2(添付画像:石その二)」「松城?」「ブー」「飯田橋城?」「オヤカタサマー当てる気あるのですかあ」だからないっつーの、なんてメールのやり取りをしているだけで一ヶ月以上会ってなかったりする。 で今日の夕方ホームセンターで買ったアイロン台を小脇に抱えながら駅に向かって歩いていると「あらー奇遇ねえオホホ」と声を掛けられて振り返るとシノさんのお母

    私の異常なお見合い・風雲篇 または私は如何にしてEDの誇りを胸に忍者プレイを強要してくるお見合い相手を説き伏せたか - Everything You’ve Ever Dreamed
  • タイムマシンの恋人 - Everything You’ve Ever Dreamed

    秋の新宿駅埼京線ホーム。「あなたとは終わりよ。だって…」。彼女の言葉は僕の耳に吸い込まれる直前で発車ブザーに弄ばれ、それから永遠に喪われてしまった。彼女は初めて出会ったときの言葉を覚えているだろうか。僕はいまでもはっきりと覚えている。彼女はこう言ったんだ。「あなたはずっと前から出会うって決まっていた運命の人なの」。 すこし肌寒い秋の夜になると彼女を思い出してしまう僕は情けないやつに見えるかもしれない。仕方ない。僕は僕にはそういう側面があるって僕自身で認めている。女の子は現実的な考えをする生き物だ。それゆえ古今東西の男の子は古今東西の女の子の、手品のような、魔法のような、予想もつかない言葉、行動に振り回されたりするのだ。でも僕は女の子特有の現実主義に勝機はあると考えていたんだ。 通り過ぎる女性たちが振り返ってしまうほどルックスに優れ才能に溢れ多くの名声を持つ僕と彼女の周りにいるボンクラをなに

    タイムマシンの恋人 - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/10/25
  • 私の異常なお見合い・策謀篇 または私は如何にしてアル中の上司を歴女と共に処理したか - Everything You’ve Ever Dreamed

    月曜午後一時の僕はソバ屋で部長と酒を飲んでいた。部長は「俺の言ったとおりゴンザレスをファーストからピッチャーにコンバートしたら、みろ、20勝投手だ。俺には人を見る目がある…」なんて、どの選手を指しているのかまったくわからないジャイアンツ話を僕に浴びせながら浴びるように日酒を飲んでいた。 部長の混濁した瞳に映る助っ人外国人選手は全員クロマティー。クルーンとオビスポとゴンザレスとラミレスを識別出来ないし、グライシンガーにいたっては「名前をど忘れした…先発の…黒人の…そうあれだグライシンガーだ…名字がグライで名前がシンガー。親は奴に歌手になってもらいたかったに違いないな…」と言う始末。そうですねぇ。なるほど。ガンダムはファーストですねえ。確かに。僕は部長の話を生返事で受け流しながら、ビールを飲み、バイトの子のたゆんたゆんなオッパイを眺めることに夢中だった。 店を出た。振り返ると部長が死んでいた

    私の異常なお見合い・策謀篇 または私は如何にしてアル中の上司を歴女と共に処理したか - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 私の異常なお見合い・野望篇 または私は如何にしてちっぽけなプライドを捨てクスリで人間をヤメたか - 2009-09-01 - Everything You’ve Ever Dreamed

    お見合いによるストレスで目のまわりに湿疹が出来てしまった。湿疹パンダになり下がった僕を心配したシノさんが「いい化粧水がありますうー持ってきますうー」って平野綾の声マネで叫んだので月曜の夕方に会う約束をした。シノさんは僕のお見合い相手だ。戦国時代が好き(西軍派)で趣味はコスプレとドール、カレー嫌いの25歳推定Eカップのスザンヌ似、コードネームはノッピー☆。 「オヤカタサマー!これが約束していたものですう〜」「あ〜なんか悪いっすね…今日仕事じゃないの?」。シノさんは頭に大きなリボンを付けて腰の鞄はウサギ型。抱えた楽器ケースにはドールが入っているのだろう。「仕事ですうー」「えー!その格好で?」「わたしが何の仕事をしているか興味あるみたいですねえ」「正直ありません。会話の流れとノリでえー!って叫ぶのが僕の癖なんです」 「オヤカタサマ…」「なんでしょう」「顔がボロボロでまるで…」「なんすか?」「大谷

    私の異常なお見合い・野望篇 または私は如何にしてちっぽけなプライドを捨てクスリで人間をヤメたか - 2009-09-01 - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/09/02
  • 私の異常なお見合い・螺巌篇 または私は如何にして私がインポだと知っているおばはんと臨終プレイをするに至ったか。- Everything You’ve Ever Dreamed

    昨日のつづき。 ロックじゃない。シノさんのお母さんを迎えに行く車中、後部座席でカップ酒を飲みながら僕は呟いていた。「こんなのはロックじゃない」。ロックンローラーとお見合いは相性が最悪だ。ビートルズはお見合いをした結果、メンバー間に修復不能の亀裂が走った。シドはお見合い相手のナンシーと破滅した。お見合いをしたブライアンは60年代にプールで浮き、お見合い写真が下唇ベロンだったせいで相手が見つからなかったミックは21世紀も飛び跳ねている。ジミヘンがウッドストックでお見合い写真を燃やしている映像は有名だ。 暗い歴史を振り返ってまた呟く。こんなのはロックじゃない。ロッ、クゥ、じゃじゃ、なない。うわ、舌咬んだ。シノさんポンピングブレーキやめてー。赤信号、減速のたびにブレーキを連打。激しく揺れながら走るNISSANティーダ。胃の底から湧き起こる吐き気は安酒の香り。ロックイズデッド。 シノさんは僕のお見合

    私の異常なお見合い・螺巌篇 または私は如何にして私がインポだと知っているおばはんと臨終プレイをするに至ったか。- Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/07/27
  • 私の異常なお見合い・紅蓮篇 または私は如何にして歴女に対し膣ナラについて語るに至ったか。- Everything You’ve Ever Dreamed

    何かおかしい、何となくそんな気がした。そのとき、徹夜明けの僕は、お見合いを忘れるように足を運んだ、「おはようございますプロデューサー!」なーんてカワイイ女の子がしなしな挨拶してくれる《アイドル育成カフェ》について考えていた。ポイントが貯まると記念撮影やら何やら楽しいことができるシステムの《アイドル育成カフェ》に行ってしまったら、「誰だってエビちゃんになれる」的特集が毎号掲載されている小悪魔アゲハを読み、経典の如く崇め、個性も何もなくなってしまったキャバクラなんて過去の遺物、「諸君らが愛してくれたキャバクラは死んだ。なぜだ!?」「アフター出来ないからさ」。 ついでにお見合いも死ねばいいのになんて。諸君らが企ててくれたお見合いは死んだ。なぜだ!?インポだからさ、つって。わあ今度はどのアイドル候補生を応援しよーなんて考えていると、なんとなーくそろそろノッピー☆が騒ぎ出すような気がした。ノッピー☆

    私の異常なお見合い・紅蓮篇 または私は如何にして歴女に対し膣ナラについて語るに至ったか。- Everything You’ve Ever Dreamed
  • 私の異常なお見合い・接触篇 または私は如何にしてアル中を装い謎の教団と対峙したか - Everything You’ve Ever Dreamed

    小学校の音楽室であの歌を聴いたときに異世界は産声をあげたんじゃないだろうか。若者たち。君の〜ゆく道は〜果てし〜なく〜遠い〜だのに〜な〜ぜ〜歯をく〜いし〜ば〜り〜君は〜ゆく〜の〜か〜そんな〜にして〜まで〜。だのに、だのに、だのに。僕には、だのに、が不自然に聞こえて仕方なかった。なのに、じゃないの?クラスのなかで僕だけが抱いた違和感の萌芽は、僕のなかで萌え萌え成長して僕から飛び出し異世界となり、今まさに飲み込もうとしている僕を。異世界の中心にいるのはシノさんだ。僕の家のドアの鍵の無断の合鍵の持ち主のシノさんは僕のお見合いの相手で、戦国時代好き西軍派趣味コスプレ、スザンヌ似の25歳推定Dカップ、閉鎖的排他的仮装的催事での名前はノッピー☆ 今、ノッピー☆によって僕の部屋の施錠は解かれ、ドアは開かれ、ドアチェーンが悲鳴をあげながらかろうじて侵入を阻止している。僕はブリーフいっちょうで物陰に身を隠して

    私の異常なお見合い・接触篇 または私は如何にしてアル中を装い謎の教団と対峙したか - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/06/24
  • 私の異常なお見合い・急 または私は如何にしてお見合いを断った挙句に大事なところをおかされたか - Everything You’ve Ever Dreamed

    時折、部屋が別の顔をしていることがある。出張や旅行などで何日か部屋を離れて戻ってきたとき、別の顔に出くわすことがある。まったく違う部屋というわけではなく、ちょっとした違和感、ズレがノイズのように視覚、聴覚、嗅覚のうえを走るのだ。或る風景を眺めてみる。両の目で。右目で。左目で。一の風景が三の相を持って現れる、そういうズレだ。今日、部屋に戻ると部屋が別の顔を持っていた。いつもより整理が行き届いているような気がした。僕はほぼ二日ぶりに、冬にお見合いをしたシノさんの実家から帰ってきた。怪我をして行動不能に陥った僕はシノさんの実家に泊めてもらったのだ。シノさんはスザンヌ似の25歳、戦国時代好き西軍派、趣味コスプレ。コスプレ時はシノ改めノッピー☆。 遡って夕方。回転寿司屋。隣にいた騒々しい大家族がイカ以外の魚介類を奪ってしまうせいで、我々の席にはきゅうりやツナを巻いた海苔巻き、ケーキ、スイートポテトが

    私の異常なお見合い・急 または私は如何にしてお見合いを断った挙句に大事なところをおかされたか - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/06/22
  • 私の異常なお見合い・破 または私は如何にしてお見合い相手のチチを揉んで大きさに打ちのめされたか - Everything You’ve Ever Dreamed

    朝、目が覚めると泣いていた。布団に伸びた僕の右手は青白く、死んだ蛇のように見えた。左の掌で股間に触れてみる。シャクティーパット。エンゼルタッチ。大蛇は軟らかく死んでいた。僅かな希望とは裏腹に海綿体はとうに壊死しているのかもしれない。海綿体はどこかへ流れていってしまったのかもしれない。それでも人しか愛せない。海援隊が歌ったように、僕は。絵師の描いたエロ同人でつかの間の快楽に堕ちても、僕は。 麦殻が詰め込まれた枕の横で三体のこけし、ディルド君、こじゅうろう君、リトルこじゅうろう君が木製らしく冷ややかに僕を見下ろしていた。やれやれ。身体を持ち上げる。鎧兜、城郭が描かれたペイント、洋風の人形が僕を囲んでいて、埋葬品に飾られたミイラが見た世界みたいで思わずぶふぅと吹きそうになる。ここは僕がお見合いをしたシノさんの家の和室。前夜、酒をがぶがぶ飲んだ挙げ句、壁に特攻し怪我をした僕は泊めてもらったのだ。シ

    私の異常なお見合い・破 または私は如何にしてお見合い相手のチチを揉んで大きさに打ちのめされたか - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/06/20
  • 新・私の異常なお見合い または私は如何にして焼肉デートのあとインポを克服するために赤ちゃんプレイをするに至ったか - Everything You’ve Ever Dreamed

    インポを告白して断ったはずのお見合い相手とは泥沼、インポはコンティニュー、相手の母親から「婿殿の茶碗も用意してありますよオホホ」「初孫は男の子がいいわウフフ」、実の母親から「もうあんたに先はないんだからさっさと決めちゃいなさい、このインポ息子!」などと心ない言葉を連日頂戴するような四面楚歌で、普段は大海原のように穏やかな僕の精神も降参し荒んでいた。この週末は自分を見つめ直し心の平穏を取り戻そうと、酒を飲み飲み木材から仏像を削りだし、仏画を描いていた。不安が襲ってくるとドアを開け「くわっ」と目を見開き酒の肴のピーナッツを「鬼は外、福はうち」と一心不乱に虚空へ投げつけて平静を取り戻した。 そんな静かな時間は一通のメールによっていとも容易く破られてしまう。ジーザスクライスト!サノバビッチ!土足でお庭に入ってこないで。お花畑を踏み荒らさないで。「ヤフオクで武器が売れたので焼肉をべるのですうー ノ

    新・私の異常なお見合い または私は如何にして焼肉デートのあとインポを克服するために赤ちゃんプレイをするに至ったか - Everything You’ve Ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2009/05/18
  • はじめてのピンサロ - Everything You’ve Ever Dreamed

    ガレージロックの似合いそうな安っぽい色彩に切り取られたボックスのなかに僕はいた。古いアメリカ映画に出てくるモーテルにでも出てきそうな、チープな、オレンジとピンクが互いにでしゃばって譲らないライト。主張フィフティーフィフティー。二畳ほどのスペース、天井からは「いかにも」モハ系通勤電車にありそうな吊り革がぶら下がっていて足元ではビニール製ソファがショッキングピンクの耀きを放っている。スーツ姿の僕は、吊り革に両手でぶらさがり帰宅途中の会社員を演じていた。背後の蛇腹が開いて人の気配と甘い香りが侵入してくる。「失礼しまーす」 ここはピンサロ、「電車でGO!!」。初めてのピンサロ訪問で挙動不審気味の僕に男が訊ねる。「どのコースにしますか?」男の指先に三択。「痴漢コース」「逆痴漢コース」「恋人コース」。正月の手痛い失恋からインポに陥っている僕は、躊躇なく「逆痴漢コース」をセレクトしてエレクトの可能性を賭

    はじめてのピンサロ - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 俺はまだ性癖を出してないだけ - Everything You’ve Ever Dreamed

    目が覚めると「へ」の字になっていた。平仮名の「へ」。布団の上、うつ伏せの姿勢で軽く腰が持ち上がった僕は、少し離れて眺めると頭から足の指先まで170センチの「へ」の字に見えたはずだ。目が覚めてしまったのはすっかり完治したと思っていた腰痛のせい。身体を少しでも動かすと、激痛が腰の中心から拡散していく。再発の原因はわかってる。眠る前に「未知の力を目覚めさせてうだつのあがらない生活にサヨウナラ」と思ってキメた水魚のポーズ。あれだ。間違いない。痛みが怖くて動けない。限られた視野のなかで、第一号だけしか買わなかった「週間恐竜サウルス!」オマケの骨格模型の傍らで、テレビから伸びたコードの先のヘッドフォンがカシャカシャと歌っていた。何の音かは識別できなかった。コードの先にあるテレビのなかには何かが映っていた。コンタクトレンズを外し、眼鏡も掛けていない僕には様々な彩りのシルエットがぼんやりと動いているだけだ

    俺はまだ性癖を出してないだけ - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 甲殻のガールフレンド - Everything you've ever Dreamed

    奇蹟なんてそう滅多に起きるものじゃないなんてことは僕にだってわかっている。たとえば大事故のニュース。生存者の見込み無し。「無し」。わかってる。そんなことは。でもさ、そんなとき、一人でも、一人でいいから救われて欲しいと思う。暗いニュースを見るたび、そんな奇蹟が起きるのを僕は信じてやまない。 昼、天津丼をべていた。卵にとじられた蟹の欠片を箸で持ち上げ、口に運ぶ。味の染みたご飯をかきこむ。そんな事の最中に、ふと、蟹を飼おうと思った。川原にいる地味な奴や、アメリカからやってきた海老っぽい面をした奴じゃなくて、ズワイかタラバ。個人で飼育できる生き物なのかどうかは知らないけれど。そして卵から孵った子ガニ達を海へ放つんだ。 挨拶に毛が生えたようなメールを送ることなく消している。送り先のアドレスと電話番号を自棄になって消してしまったせいで送れないのだ。お酒が入るとそんなことを忘れてしまう。いざ送信しよ

    甲殻のガールフレンド - Everything you've ever Dreamed
  • 愛と哀しみのエロ本処理 - Everything You’ve Ever Dreamed

    部屋のなかで山積みになっていたエロを処理することにした。僕にとって、エロとはエロ漫画のことだ。ひと昔前ならば、夜中に近所の公園のベンチの下に置いておくと、翌朝にはなくなっていて、需要と供給というか、ちょっとした市場というか、世界があったのだけれど、今はもう誰もいない。マナブもアキラもカズノリもいなくなってしまった。そして僕はまだ残っている。たったひとり。 「なぜ、漫画なの?写真とか動画の方がいいじゃない」 そう訊ねられると答えに困ってしまう。愚問だから。逆に問いたい。モデルの趣味やスペックを知りたいか?くだらないインタビューなんて読みたいか?無意味にビーチを走っている姿を見たいか?海は死にますか?山は死にますか?風はどうですか?空もそうですか?教えてください。エロ漫画を否定してみてください。 僕はただ、純粋にオッパイそのものを愛している。その他の要素は排除したい。出来るだけ。可能なかぎ

    愛と哀しみのエロ本処理 - Everything You’ve Ever Dreamed
  • はやくぶっかけて - Everything you've ever Dreamed

    職場の飲み会があった。金曜の夜ということもあって、雑居ビルの二階にある居酒屋は、満席で、騒然としていた。遅れて到着した僕は、その店の騒がしさと派手な看板にげんなりする。何がそんなに楽しいのだろう。ここは天国なのかい?この暖簾の向こう側に、しあわせは、あるの? 乾杯をして宴会がスタートした。続々と料理が運ばれてくる。大皿の料理を小皿にわけるのが、端の席に着いた僕と総務のマヤちゃんの役目になった。テーブルの端というのはそういう席だ。マヤちゃんは仕事では見せない器用さを発揮して、丁寧に、手早く、サラダを取り分けていく。水菜の緑とオニオンの白。色取り鮮やかなサラダが小皿に作られていく。プチトマトがそれぞれの頂にちょこんと置かれているのが可愛らしかった。終始、その作業は迅速だった。効率化されていたというべきか。 普段のぶっきらぼうからは想像できない、意外な才能に感心しながら、手先を観察していた僕に、

    はやくぶっかけて - Everything you've ever Dreamed
    PinkMoon
    PinkMoon 2007/11/12
  • 1