1980年代のことだが、かなりの頻度で、フランス料理を食べていた時期がある。もともと、関西生まれの関西育ち。就職して2年目に東京に転勤してきた際には、浅はかにも「関西の方が食事はおいしいに違いない」と決めつけていたのだが、江戸前の寿司、そば、そしてフランス料理……。いくつかのジャンルでの東京における食のレベルの高さに驚がくした。 もちろん、20代のサラリーマンの懐具合では、通える頻度にも支払える金額にも限界があった。それでも、今から考えると、よくもあんなに(相対的には)重たい料理を好んで食べていたな、と思うほど、入れ込んでいた。 振り返ってみると、当時はフランスで修行してきた日本人シェフたちが、いわゆる街場のフランチレストランを続々とオープンしていった時期だった。 フランス料理を身近にした街場のレストラン それまでは、フランス料理はホテルを中心とした、かしこまった定番料理、というイメージが