安倍首相の辞任で再び中枢不在の「官僚主権」が台頭する 安倍晋三首相が辞任した。この出来事から官僚主権と日本独特の権力構造を分析しておきたい。 日本の権力構造には中枢が存在しない。1府12省がそれぞれ権力を持ち、13の小政府を形成している。だが統一政府は存在しない。 安倍首相は、官邸を権力の中枢とする官邸主導型の統一政府を目指した。小泉純一郎前首相が推進した官邸主導政治を引き継ぐ使命感を持っていた。小泉政権の官邸主導政治は、企業で言えば、役員会が重要事項を決定するかたちに近い。 今回の辞任で、再び中枢機能が低下するだろう。先の参院選で、民主党が参議院の第一党となった。国会で与野党の力は伯仲している。自民党だけで法案を通すことは不可能になった。これまでなら役員会で決めることができた案件も、国会という社員総会で決めることになる。 国会での話し合いがメインになると、官邸の役割はあまり重要