ラース・フォン・トリアー監督脚本の「機会の土地-アメリカ」三部作のうちの既に公開された2作品を観た。演劇舞台とナレーションを使った前衛的な表現にひきこまれた。 両作品とも倉庫のようなだだっ広い空間のみが映画の舞台。床には白線が描かれていて、それが家の境界線を表す。後は簡易的なセットがあるだけ。十数人の村人たちは、壁があるふり、ドアがあるふりをして、それぞれの家での家族の生活を演じている。カメラはその演技を追うのだ。 ・ドッグヴィル プレミアム・エディション [DVD] 大恐慌時代のロッキー山脈のさびれた鉱山町ドッグヴィル。貧しく保守的で平和な村に、ある日、ギャングに追われた娘グレース(ニコール・キッドマン)が迷い込む。村人たちは道徳心から彼女をかくまってやることにする。グレースはその代わり、村人たちのために奉仕労働をすることを約束した。 親切な村人たちと献身的なグレースの間に平穏な日々が続