今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 〔9月7日号掲載〕 東京の夏が終わって一番ほっとするのは、秋の涼しい風を感じることではない。「夏のアドバイス」の幕が下りることだ。 私は人一倍、暑がりで汗かきに見えるのだろう。暑さと湿気対策のアドバイスを引き寄せる体質のようだ。東京で会う人は口々に涼しく過ごす方法を教えてくれる。冷たい水を飲みなさい、温かいお茶を飲みなさい、抹茶アイスを食べて、鰻(うなぎ)を食べて、扇風機のそばに座ること、扇風機のそばに座らないこと......。 どれも善意からなのだろうが、すべてに従おうとすると少々骨が折れる。今年の夏もカビの掃除や日よけの作り方、水分補給など、教わったアドバイスをすべて実行できればよかったのだが。 東京に来たての頃に教わったアドバイスで秀逸だったのは、店頭にメニューが出ていない店(値段が高過ぎる)と、サンプルにほこりがたまっている店(たぶんおいしく