今週のコラムニスト:マイケル・プロンコ 〔4月15日号掲載〕 私は東京で暮らすうちに、街を全速力で移動する方法を身に付けた。ここではやることがいろいろあって、ゆっくり周囲を見回す時間などない。それでも時折、個性的な建築物に出くわすと、思わず立ち止まることがある。 私が完全に足を止めるのは、歩道の脇にある小さな神社に出会ったときだ。あまりにも小さくて、ほとんどの通行人は気に留めないが、私はいつも立ち止まる。周囲のすべてに逆らい、聖域の空間を主張しているようなたたずまいに心を引かれるからだ。 もちろん、広大な敷地を持つ神社仏閣もたくさんある。でも私の琴線に触れるのは、本当にちっぽけな神社だ。繁華街の新築ビルのはざまに鎮座する小さなは、周囲の環境とにらみ合いを続けているように見える。銀座にある小部屋サイズの神社の石の鳥居は、まるで6階建ての2棟のビルの間で必死に踏ん張っているようだ。 もっと広い