日本屈指の名門病院「聖路加国際病院」が経営危機に陥っている。その背景には医療制度の構造的な問題がある。医療崩壊は防げるのか――。 「聖路加国際病院」でボーナス遅配 病院は東京から崩壊する――。 東京一極集中、地方の衰退が叫ばれる昨今、このように言われて、俄には信じられない方が多いだろう。東京には多くの病院があり、厚生労働省やマスコミは医師が都会に集まることを問題視する。一体、どうなっているのだろうか。問題は医療システムを一面的にしか見ていないことだ。医療システムは複雑系だ。さまざまな物事が有機的に結びつく。 拙著『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日』(朝日新聞出版)では、この点について、データに基づいて議論し、患者はどう対応すればいいか提言した。今回、拙著のポイントを2回にわけて解説していく。第1回は「名門病院」の経営危機を取り上げたい。 昨年、医療界に衝撃が走った。名門の「聖