民話の中には人食いの魔物が登場するものが沢山ある。 魔物が主人公を訪ねてくる場合もあるが、多くの場合、主人公は魔物の棲家に迷い込むか自ら出かけていく。英雄が姫君を救うべく乗り込んで魔物退治する正統派の話群もあるが、一方で目を引くのは主人公が「小人」か「子供」であるものだ。一見して非力な彼らは狡猾で、魔物の家族をだまして財宝を奪い、時には惨殺して嘲り笑うことすらある。対して魔物は「巨人」か「老人」とされるが、恐ろしい人食いである反面、主人公にだまされる愚鈍な面を持っている。 ここではそんな「だまされ、奪われ、殺される人食い」たちの物語と、人食いから逃れる「呪的逃走」譚を中心に集め、そこに共通して見えてくる「冥界とその住人」への認識を掘り出してみようと思う。 >>参考 【親指小僧】[一寸法師]【赤ずきんちゃん】【瓜子姫】【カチカチ山】 一見して非力な主人公が、勇気と知略によって強大な「人食い鬼