イギリスにおける階級社会 京都産業大学文化学部 国際文化学科 笠原 薫 【はじめに】 現在、日本に住む私たちが「階級社会」と聞いても、実際あまりピンとこないだろう。さすがに現代のイギリスに「制度としての階級」は残っていないし、もちろん法律として定められてもいない。しかし依然として国民の生活の中や国民の意識の中に階級社会というものは存在している。 そこで今回、長い歴史を持ち、イギリスに深く根付いている「階級社会」に焦点をあて調べることで、階級間に生じる壁や、なぜイギリスで階級社会が今も生きているのかについて考えていきたい。 ① イギリスにおける階級制度 イギリスは歴史と伝統を重視する国で、また個人主義的で保守的な面も持っているといわれる。このようなイギリス特有の文化が、いまだにこの国に階級社会が残っていることの要因の一つとして挙げられる。また「人は人、自分は自分」という個人主義の考えが、