拝啓 手塚治虫様第18回 ソラニンは小粒でもぴりりと毒素 背景に写真を加工した画像が使われる作品が増えた。そういうことを積極的に行っている漫画家もいる。最近に始まったことではないけれど、劇画に限らず実在の風景が画面に収まっているというのが、なんだかしっくりこない。だからといって、そこで描かれるキャラクターたちは浮いてはいない、作家の腕にもよるが、違和感なく現実っぽい景色の中に存在している。 写真あるいは写真をトレースした背景は確かに物語が今この世界で動いている感覚を味わえる。映画やテレビドラマで言えば、見知ったロケ場所で撮影された映像を見たときの妙な興奮にも似ている。 現実を取り込んだ虚構が、そこにある。それは現実っぽいけど、やっぱり虚構である。現実が見たければロケ現場なり撮影場所なり、描かれた場所に実際に行ってみればいい。現実だから虚構の登場人物がそこにいなくてもがっかりなん