「生産性ジレンマ」の構造とその打開策 �T.生産性ジレンマとは ウィリアム・アバナシィは自動車産業における技術革新の研究において、生産単位に焦点を当てた研究を行った。彼は、その著書「The Productivity Dilemma」(1978)の中で、技術革新研究を製品と製法を統合して把握しようとし、「高い生産性と技術革新能力を両立させることは困難である」という議論を展開した。これが「生産性ジレンマ」である。 �U.生産性ジレンマの構造 アバナシィは、生産技術の発展と関連する経営生産の発展段階をライフサイクルの概念を用いたモデルで説明した。その発展段階は、(1)流動的な状態(fluid state)、(2)支配的デザインに基づく標準化製品の量産体制の成立という過渡的段階、(3)自動化された機械・設備による特化された段階(specific stage)という3段階に分けられる