今回は趣向を変えまして、「すでに物語は出つくしている」という説を考えてみたいと思います。残念ながら、書物による調査は失敗しました。これはネットを調べた推論です。 オンライン作家なんてやっていると、必ず出くわすのが次の説です。 「物語なんていうものはとっくに出つくしている。あらゆる物語はシェイクスピアによって36通りに分類された」 この説は、新しい物語なんて存在せず、そんなものを考えるのは無意味だ、といった文脈で使われることが多いようです。 しかしこれは、本当なんでしょうか? ●「物語」とは何か? 36通りについて調べる前に、「物語」とは何なのか定義しておく必要があります。 クセジュ文庫で「物語論」という本がありまして、著者のジャン・ミシェル・アダンは六つの構成要素を挙げています。そのうちの一つ、恐らくもっとも重要なのが、サルトルが定義した「因果関係」です。 手もとにある「ハリウッド脚本術」