君のこといつも見つめてて 君のことなにも見ていない (9月の海はクラゲの海 / ムーンライダーズ) もしいま、あなたの手元に国語辞典があるなら、お手数をおかけするが、「不審者」という言葉を引いていただきたい。おそらく、載っていないはず*1。 * 私が初等教育を受ける年齢になって小学校に通いはじめた、つまり「児童」になったのは2002年の春だった。"フシンシャ"という音の連なりと、それに伴うサングラスにマスク姿のイメージは私にとって、そしてクラスメイト全員にとって小学校生活の日常風景だった。友達をいじるときにも「お前フシンシャやろ」という言葉*2が何の含みもなく発せられ、始業式の日には黄色い防犯ブザーや緑の半透明の防犯笛が配られて、私たちはそれがどんな場所で製造され、どんな指導や決定のもと自分の手に届いてるのかについて想像を巡らせさえしないまま、ランドセルの脇にぶらさげて、専ら下校のときにふ