小さな命が消えゆく様子に、何も思わなかったのだろうか。同居相手の当時3歳の息子に暴行を加え、死亡させたとして、傷害致死罪に問われた男の裁判員裁判が9月4~13日、東京地裁で開かれ、懲役8年の判決が言い渡された。逮捕直後からその衝撃的な暴行内容が指摘されていたが、法廷では新たに犯行前後の自己中心的な行動が明らかになった。(社会部 加藤園子) ■第4の女?へのメッセージ 「覚えてないです」 それまで淡々と質問に答えていた永富直也被告(21)が、言葉を濁した。 「(暴行翌日の)夜、同居相手とは別の女性とLINE(ライン)していませんでしたか」 検察官がその女性のLINEのアカウント名を読み上げる。暴行翌日はまさに被害者の新井礼人(あやと)ちゃんの容体が悪化し、目の前でぐったりと動かなくなってしまった日だ。 「この人とお互い『好きだ』とかそういうやりとりをしていませんか」 「覚えていない」と繰り返