ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (9)

  • 吉本佳生『日本の景気は賃金が決める』 - 紙屋研究所

    また、アベノミクスの紹介です。 たらたらと書いているうちに、アベノミクス自体がどうなっちゃうかわからないんですが、つづけます。 今回は、吉佳生『日の景気は賃金が決める』(講談社新書)です。 以前、小幡績『リフレはヤバい』をいちばんわかりやすいだと紹介しましたが、そのときに1つ留保をつけました。 実は、ぼくとしてはこの吉のほうがわかりやすいと思いました。 ただし、それはきちんとを読んでいけるというタイプの初心者の場合です。 小幡のは、ざっくりとリフレ、とくにインフレとはどういうことかを語り口調で書いていて、経済を勉強すること自体になれていないという人は、たぶん小幡の方が入門しやすいと思いました。 吉のは、定義や概念をきっちりとおさえて、積み重ね、すすんでいく、という作業をしっかりやっています。だから、これは勉強しようと思って読むと勉強になると思います。だけど、その分、読書体験が

    吉本佳生『日本の景気は賃金が決める』 - 紙屋研究所
    ROBOT_KUN
    ROBOT_KUN 2013/06/26
  • アベノミクス本を読む - 紙屋研究所

    アベノミクスがにわかに注目されだして、すでに半年近くがたちます。しかし、ぼくは、原発事故のときに原発や放射能について何も知らなかったのと同じで、金融や金融政策についてほとんどドシロートの状況からこの問題に直面することになりました。 ぼくの周りのサヨクのみなさんも、まあ似たりよったりです。 ぼくのようなシロウトがリフレ、つまり人為的にインフレを起こすという政策を聞いたときに、真っ先に思うことは、「物価をあげても給料や所得が上がらないとダメだと思うんだけど、それはどういう回路で実現されるんだろうか?」ということじゃないでしょうか。 そして、インフレといえば、頭にふっと浮かぶのは、ドイツやジンバブエのようなハイパー・インフレ、お金の価値がどんどん下がって、ついには紙幣は紙くずのようになる、アレです。紙幣をたくさん刷ればすぐできると思うんだけど、それはやらないのかな……こういう思いもよぎりました。

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    ROBOT_KUN 2013/05/16
  • 坂口安吾・近藤ようこ『戦争と一人の女』 - 紙屋研究所

    類型的な戦争観への疑問が出発点 『戦争と一人の女』は、第二次世界大戦の最末期、空襲にさいなまれる街の一軒家で、かつて水商売をしていて妾や女郎の経験もある「淫奔」な女と、それと同居する野村という男が生活をする話である。 坂口安吾の3つの小説を原作として、近藤ようこが一つにまとめてマンガ化した作品で、どれも戦争(第二次世界大戦)が終わってすぐに発表されたものなので、戦争の語られ方が(世の中一般で)「物語」としての類型化を始める前の生々しさに特徴がある。 近藤ようこは、その切り口の「新鮮さ」に衝撃をおぼえ、この作品に近づいている。そのことは、書の「あとがき」を読むとわかる。 「戦争」ってなんだろう。昭和三十二年生まれの私は教科書でも戦争についてちゃんと教わってない気がする。 や雑誌で垣間見た、モンペと防空頭巾の女、集団疎開している小学生の写真。あるいはテレビドラマで繰り返される、当は戦争

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    ROBOT_KUN 2013/01/06
  • 菅直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』 - 紙屋研究所

    原発事故に備えて防災計画を自治体につくらせるべく、原子力規制委員会が防災指針をしめした。福島原発級の事故が起きたとして、30キロ前後がヤバい、と。んで、平均的な風とかそういうものでのシミュレーションを出して、それでうちの町が入ったとか入ってねえとか、いやあれ間違いでしたとか言ってる。 さらに、そういう想定にもとづいて、避難訓練とかやっちゃったりして、参加した人が「こんなに車がスイスイ走れるわけねーだろ」とかボヤいている。 何なんだこれは。 ストレートにいうと、原発事故がなんで福島級で打ち止めみたいな話になってんだ。 シミュレーションで、うちは入ったとか入らないとか、法律的な準備からいうとたしかにそれは大ごとなんだろうけどさあ。原発事故ってそういうもんじゃないだろ。 お前らはナニか、原子炉に人格があって、「おれ今から事故るけど、やっぱ、防災指針のとおりに事故って、放射性物質も指針にそって拡散

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    ROBOT_KUN 2012/11/09
  • 女性マンガ誌の編集者に関するつれあいの予言 - 紙屋研究所

    娘といっしょに家に帰ると、つれあいがコタツにすわって、パソコンのモニターを眺めながら涙を流している。 びっくりした。 あの、つれあいが、ですよ。眉一つ動かさずにイノシシを屠るかもしれない、と噂されたうちのつれあいがですよ。滂沱と涙を流しているっていうんじゃあ、ただごとじゃない、ってことにここで気づくわけです。 「どうしたの」、なーんて、気のきかないにも程がある質問を、震えながら口にすると、「ちょっと」。「『ちょっと』、って何」と追いかけないわけにはいかないじゃないですか。ここは。泣いている女を前にして。そこは。スルーする、ってわけには。 「ちょっと、はつげんこまち、読んでた」 仰天した。その瞬間何が起こったのか、全然わからなかった。 は・TSU・ゲ・ん・コ・MA……? それが「発言小町」だと、ぼくの脳内で字影を結ぶまで、どれだけ長い時間が流れたことか。 そう。あの、読売新聞の、人生相談的な

    女性マンガ誌の編集者に関するつれあいの予言 - 紙屋研究所
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    ROBOT_KUN 2012/10/30
  • 保阪正康・東郷和彦『日本の領土問題』 - 紙屋研究所

    2冊目くらいに読む ロシアとの領土問題交渉にあたってきた外務官僚・東郷和彦が日がかかえる3つの領土問題を解説しただといってよいが、ノンフィクション作家である保阪正康がそれに少々のツッコミをいれる対談を入れて共著の形をとっている。 いちおう3つの領土問題を簡単に解説していることになってはいるが、領土問題にはじめてとりくもうとしているシロウトからすると、いかにもテクニカルタームが多くて、読みづらい。前に紹介した松竹伸幸の『これならわかる日の領土紛争』(大月書店)のようなを1〜2冊読んだ後であれば、当事者の書いたものとして興奮を味わいながら読めるだろう。 不破のと対比させながら読むと味わい倍増 そういう前提でこのを読んだとき、やはり白眉は「北方領土」問題のところだといえる。 ぼくはこのを不破哲三の『千島問題と平和条約』(新日出版社、1998年)と対比させながら読んだ(および、2

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    ROBOT_KUN 2012/10/08
  • 梅本ゆうこ『マンガ食堂』 - 紙屋研究所

    マンガに出てきた事を再現する有名なブログ「マンガ堂」が、書籍化されたもの。 http://umanga.blog8.fc2.com/ ぼくが自分の胸に手をあてて、心の声に耳をすましたとき、「べたい…」と思えるマンガ料理、というかまず思い浮かべるマンガ料理は、なんといっても料理人修業物語、牛次郎・ビッグ錠『包丁人味平』のカレーである。 兄が「少年ジャンプ」を雑誌でときどき買ってきていたのが家の納屋に捨ててあり、ホコリまみれの古雑誌をくり返し読んだものである。当時『味平』が連載中で、しかもこのカレー対決と、ラーメン対決が古雑誌として我が家に残っていて夢中になって読んだものである。 いまでもうまいラーメンべると、ビシッと割り箸を置きたくなる心のクセは、あきらかに『味平』の痕跡だ。 梅書にこの『味平』のメニューが入ってなければ、このようなはホンモノではない……などと無意味な基準を

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    ROBOT_KUN 2012/05/18
  • 男女共同参画推進とは花を植えることか? - 紙屋研究所

    ぼくの住む福岡市には校区ごとに「男女共同参画推進協議会」というものがある。校区ごとにあることからもわかるように、自治会・町内会に関連した地縁的組織である。自治会単位ごとくらいに1人ずつ委員を出して、その校区の「男女共同参画推進協議会」をつくるのである。 いわば自治会の「役」の一つのように見なされているものだ。 下記はある校区の「男女共同参画推進協議会」の去年1年の活動である。 実施日 活動内容 4月某日 「男女共同参画推進協議会」総会 4月某日 校区花植えうちあわせ 5月某日 草取り 5月某日 花植え 6月某日 花植え 6月某日 花植え(ひまわり) 7月某日 草取り 8月某日 草取り 8月某日 夏祭り(露店) 8月某日 夏祭り片付け 9月某日 草取り 9月某日 花植え(コスモス) 9月某日 花植え 10月某日 草取り 11月某日 全体会 12月某日 草取り、コスモス撤去 1月某日 葉牡丹

    男女共同参画推進とは花を植えることか? - 紙屋研究所
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    ROBOT_KUN 2012/05/10
  • 加納朋子『七人の敵がいる』 - 紙屋研究所

    「ボランティア」という名の強制 加納朋子の『七人の敵がいる』は、出版社でバリバリ仕事をこなすが、キツいモノ言いしかできない子育て中の母親が、PTA、自治会、学童、少年スポーツといった「ボランティア」の役員に引きずり込まれていく様子をコミカルに描いた小説である。 冒頭で小学校に入学し、さいしょにPTAの係など断じて引き受けられないと主人公・陽子が宣戦布告するシーンがある。 「そうは言っても」別な保護者が発言した。「現実に一児童につき役員二度という決まりがあるわけじゃないですか。みんながあなたのようなことを言い出したら、PTAなんて成り立たないじゃないですか」 「成り立つ必要があるんですか?」ごく冷ややかに陽子は言った。「見たところ、いらない仕事もずいぶんあるみたいですけど? 整美委員の花壇の世話なんて、なんで保護者がこんなことする必要があるんです? 成人委員の保護者向けレクリエーションだって

    加納朋子『七人の敵がいる』 - 紙屋研究所
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    ROBOT_KUN 2012/04/29
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