【上海=河崎真澄】中国が戦略資源と位置付けているレアアース(希土類)の輸出量が、今年は1万トン前後と過去10年で最低水準に落ち込み、輸出許可枠の約3万1千トンを大きく下回る見通しとなった。業界関係者が24日明らかにした。最大の輸出先である日本の需要が急減したためで、レアアースを外交カードとして使ってきた中国は資源戦略の転換を迫られそうだ。 レアアースはスマートフォン(多機能携帯電話)などハイテク製品の製造に欠かせない材料だが、日本向けが2011年に前年比で34%減少し、今年はさらに下がる見込みとなった。 10年9月の沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件を受け、中国当局が事実上の対日輸出規制を行ったことを教訓に、日本企業はレアアースが不要な製造技術やリサイクル技術を相次いで開発。調達先もオーストラリアなどに拡大し、対中依存度を急速に引き下げた。 中国は世界レアアース市場の90%以上を占め