十月にあった愛知県岡崎市長選で「全市民に五万円支給」を主公約に掲げた新人、中根康浩さんが初当選した。市民が支持した結果だが、安易な現金支給の約束は有権者の判断を惑わさないか。 中根さんは民主、民進党の衆院議員を四期務めた。先月十一日の市長選告示直前に、新型コロナウイルス禍の対策として「全市民への五万円支給」を打ち出した。自民や立憲民主、公明党などの推薦を得て三選を目指した現職を三万票強の大差で破った。 喫緊のコロナ対策か、それともポピュリズム(大衆迎合主義)によるばらまき施策か。現職陣営は「五万円で票を買うのか」と批判し、激しい舌戦となるなど、五万円支給が有権者に少なからぬインパクトを与え、一定の投票行動に結び付いたことは間違いない。 中根さんは就任会見で、五万円支給を実現できなければ、市民から「リコール(解職請求)を受けても当然」と述べた。二百億円とされる財源には、災害時などに備えるため