近代国家には、いかなる脅しを受けようとも、してはならない譲歩があります。ある種の勢力を法の支配の枠外に置くことは、その一つです。「法の支配」というのは、私たちが不正義の横行しない、安定した社会を維持するのに不可欠の要素です。 ですから、医師たちが「自分たちを法の支配の枠外に置くまで、一切の医療行為を行わない。さあ、それで困るのはお前たちだ。医療行為を受けたければ、医師の元にひざまずいて、「今後は医師を法の支配の枠外に置きます。医師たちに何をされても、私たちはそれを運命として受け入れ一切を諦めます。」と宣言せよ」との脅しを受けても、これに屈することは私たちの社会に回復しがたい禍根を残すことになります。そのようなことが通用するのであれば、他の業種だって、サボタージュ活動を行うことによって、治外法権を勝ち取ろうとする虞があります。そうなれば、私たちは、守られる「法」を持たない、野蛮な社会に逆戻り