漫画家を夢見て上京する若者を住宅面などで支援する「トキワ荘プロジェクト」。平成18年にスタートし、約20人がプロとしてデビューした。5月に書き下ろし単行本「僕にはまだ友だちがいない」を出した中川学さん(36)もチャンスをつかんだ一人。2作目の話も進んでおりキャリアアップしている一方、経済的成功には遠い。プロジェクトは漫画にかける夢と現実を映し出す。 中川さんが生活する古い木造一戸建てがあるのは、東京都練馬区の西武池袋線線路のすぐ脇。電車の通る音がうるさい。ここで漫画家志望の5人が共同生活している。トイレ、台所、風呂は共同だ。 部屋は4畳半一間で押し入れはなし。部屋の柱にはレシートが貼り付けてある。トイレットペーパーを買ったときのもので、「共有物はなくなっているのに気づいた人が買って、後で精算するんですよ」と中川さんは笑う。 トキワ荘プロジェクトはNPO法人「NEWVERY」(豊島区)の事業