家族の介護をする子どもや若者(ヤングケアラー)たちが抱える課題に光を当てようと、大阪府内の高校生約5千人を対象に行った実態調査の結果が、このほど京都市で開かれた研究会で報告された。5.2%に当たる272人のヤングケアラーが存在し、うち半数近くが小中学生の時から介護を担っていることなどが明らかになり、研究者らが適切な支援の必要性を再確認した。 ■「ほぼ毎日」45% 調査は、大阪歯科大の濱島淑恵准教授と関西学院大の宮川雅充准教授らのグループが2016年1~12月、大阪府の公立高10校で実施、約5200人から回答を得た。 ケア(介護)を要する家族がおり、自分がケアをしていると答えたのは272人。ケアする相手は祖母129人、祖父61人、母55人と続く。ケアの内容は家事が最も多く、次いで力仕事、外出時の介助・付き添い、感情面のサポートなどが挙がり、直接的な介護だけでなく幅広いケアを担っていることが分
記憶の固定や維持にストレスが悪影響を及ぼすことを生体の外で初めて再現したと、大阪大の小倉明彦教授らの研究グループが8日発表した。細胞を使った実験で再現できたことで、ストレスの影響を細胞レベルで直接検討できるようになり、記憶障害などの予防法や治療法の開発につながると期待される。論文は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。 これまでも人や動物を使った実験でストレスにより記憶の固定が阻害されることは報告されていた。だが、ストレスが直接影響しているのか、ストレスを回避するための生体の防御反応なのかは明らかになっていなかった。 研究グループは、マウスの大脳皮質の一部で記憶に関係する「海馬」の切片を培養し、ストレスホルモン「グルココルチコイド」を投与。観察した結果、脳神経細胞間で情報を伝達するシナプスの形成が阻害され、記憶の固定や維持ができない状態が確認できた。ストレスホルモンが直接
学習指導要領に基づき、生活科で児童が自らの生い立ちを振り返る小学2年生の授業について、虐待などさまざまな理由で親と暮らせない児童を養育する里親らから戸惑いの声が上がっている。「一律の取り組みが、大きな負担になっている子どももいる」。切実な訴えに、専門家も「家族が多様化する中、学校側に配慮が必要」と指摘する。 「本当につらい作業だった」―。小学3年の女児を養育する県中部の里親は、女児が2年生だった今年2月に取り組んだ生活科の授業に苦しんだ。担任から「名前をつけた理由」「1歳の時に初めてできたこと」などの質問が書かれたプリントを宿題で配られた。絵本の形にまとめるため、思い出の写真などを準備するようにも言われた。 女児が里親の元にやってきたのは小1の時。写真はあったが、実の親と連絡は取れない。担任に相談すると「ありきたりなことでいいから書いて」と返ってきた。名前の由来や乳幼児期の様子など「想
警察庁は25日、今年上半期(1〜6月)に保護者らによる虐待が疑われるとして警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数が前年同期比30%増の1万3037人で、半期の統計を取り始めた2011年以降で最多だったと発表した。年間統計がある04年以降で最悪だった昨年(2万1603人)を上回るペース。事件化した被害者数と摘発件数もそれぞれ同43%増の320人、同43%増の317件でいずれも過去最多となった。同庁は社会的関心の高まりで通報が増加したことが背景にあるとみている。 通告の類型別では、心理的虐待が同37%増の7768人で最も多く、全体の約6割を占めた。このうち子どもがDV(ドメスティックバイオレンス)を目撃する「面前DV」が5116人と前年同期の約1.4倍となり、全体の被害を押し上げた。 身体的虐待は同20%増の3471人、育児怠慢・拒否が同19%増の1715人、性的虐待は同48%増
子どもの人生を支配するように関わる親を扱った書籍や映画が話題となっている。「毒親」あるいは「毒母」と呼ばれる人たちのことで、子ども側が体験をつづった書籍の発売が続く。公開中のルーマニア映画で、ベルリン国際映画祭の最高賞、金熊賞を受賞した「私の、息子」も過干渉な母を描いている。「毒親」とは何なのだろうか。 【過干渉はマイナス】就活力:親の「適切な」サポート重要 ◇母の言動に苦しみ 漫画家の田房永子さん(35)は、実の親との決別をテーマにしたコミックエッセー「母がしんどい」(中経出版)を2012年に出版した。描かれる実母は感情の起伏が激しく、田房さんの言動が気に入らないと、柔和だった態度が急変し、ののしられた。 習い事や家庭教師を次々とかえられたり、楽しみにしていた友人との旅行を直前にキャンセルされたりしたことも。社会人になっても、意に沿わないことがあると勤め先に電話してきて「謝れ」との
2013年度に全国で不登校(年間30日以上欠席)だった小中学生は約12万人で、前年度より約7000人増えたことが、文部科学省が7日公表した「学校基本調査(速報値)」で分かった。12年度まで5年連続で減少していたが6年ぶりに増加に転じ、10年度の水準に戻った。 学校基本調査は、全国の学校の生徒数など実態を把握するため、文科省が毎年5月に幼稚園から大学まで国公私立の全学校を対象に実施している。 不登校の小学生は2万4175人で前年度より2932人増えた。全児童に占める割合(不登校比率)も0.36%と、0.05ポイント増で過去最高水準。276人に1人の割合だ。中学生は9万5181人で前年度比3932人増。不登校比率は2.69%で0.12ポイント増だった。37人に1人の割合だ。小中学生を合わせると11万9617人(不登校比率1.17%、中等教育学校含む)で、前年度より6928人増加した。 不
来たれ、未来のエジソン=異才の不登校児、発掘へ―東大先端研などサポート 時事通信 8月6日(水)15時13分配信 突出した才能を持ちながら、学校生活になじめず不登校になっている子どもを選抜し、日本をリードする人材に育てる「異才発掘プロジェクト」に東京大先端科学技術研究センターと日本財団が乗り出す。目標は、小学校を中退した後、母親が寄り添って勉学を支え、才能を開花させた発明王エジソンの再来という。 飛び抜けた才能の持ち主は、コミュニケーションが苦手だったり、興味が偏ったりして授業に興味を失い、不登校になるケースがある。こうした子どもの探求心に応え、長所を伸ばすのがプロジェクトの狙いだ。 小学3年〜中学3年を対象に公募し、書類選考と面接で10人程度を選ぶ。先端研に活動スペースを設け、専門家が特別授業を開くほか、オンラインで質問に答えるなど個別指導を行う。選抜に漏れた子どものうち100人には
防衛大学校(神奈川県横須賀市)の2年生の男子学生が、上級生から暴力を受けて抑うつ状態になったとして、上級生らを傷害容疑で週内にも刑事告訴することが関係者への取材で分かった。 関係者によると、男子学生は今年5月初旬、届け出るのを忘れたまま帰省して大学側から注意を受けたのをきっかけに、寮生活で指導役を務める4年生らから殴る蹴るなどの暴行を受けた。家族が教官に抗議し、4年生らは謝罪したが、その後も他の学生から繰り返し嫌がらせを受けて抑うつ状態に陥り、5月下旬に福岡県の実家に帰省した。現在は休学している。 防衛大学校は自衛隊幹部を養成する教育機関。学生の身分は特別職の国家公務員で、全員が学内の寮に居住し、食事や手当、ボーナスなどが支給される。一般大学と同様の教育を受け、卒業時に人文社会科学や理工学の学位を取得する一方、戦闘訓練などを通して自衛官として必要な知識や技術も学ぶ。学生数は約2000人
ひとり親家庭や、家庭に課題を抱える子どもたちの支援活動に取り組む全国の民間団体に毎日新聞がアンケートしたところ、約2割の団体が「このままでは将来的に運営不可能になる」と回答した。子どもの貧困問題が注目され、民間団体の役割が大きくなる一方で、活動基盤が脆弱(ぜいじゃく)であることが明らかになった。8割以上が活動費不足、7割近くが人員不足に悩んでいるとしており、約3割は全てのスタッフが無償で、月15万円以上の有償常勤スタッフがいる団体も約3分の1だった。 調査は今年6〜7月、相談・交流会や学習サポートなど子育て支援活動を行っている全国の82団体(非営利組織や任意団体など)にメールやファクスで実施し、53団体から回答を得た(回答率65%、1団体あたりの平均スタッフ数19.8人)。 ほぼ全ての活動日に勤務する「常勤スタッフ」がいるのは37団体(70%)で、そのうち月15万円の有償スタッフがいる
経済協力開発機構(OECD)は25日、中学校教員の勤務環境などの国際調査結果を発表した。日本の教員は指導への自信が参加国・地域の中で最も低く、勤務時間は最も長かった。理解が遅い子に合わせた指導をする割合やICT(情報通信技術)を利用する割合は低い。多忙な中、指導に集中できずにいる教員のすがたが浮かび上がる。 【写真】授業中、机を回りながら指導に当たる=千葉県内の公立中学校 2013年に実施した国際教員指導環境調査(TALIS)で、主に先進国の34カ国・地域が参加。08年に続き2回目で、初参加の日本では、全国から抽出した国公私立中学校192校の教員3484人と校長から回答を得た。 学級運営や教科指導などについて、指導がどの程度できているか、自信の度合いを4択で尋ねた。「非常に良くできている」「かなりできている」の割合の合計を比べると、12項目すべてで参加国・地域中、最低だった。「勉強にあ
文部科学省は、昨年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」が定める「いじめ防止組織」の設置など対策の推進状況について、全国調査を実施する方針を決めた。昨年9月の法施行後も、いじめ自殺の調査を巡って遺族と教委が対立したり、自治体や学校間でいじめ防止対策の実施状況に格差があったりすると見られることから実態把握を目指す。同省は、6月にも設置する有識者会議で対策強化の検討を開始する。 国は同法に基づき、昨年10月にいじめ防止基本方針を策定。自治体に対し、国の基本方針を参考に地域の基本方針を策定することや、いじめ自殺など重大事案が発生した場合に調査する付属機関の設置を求めている。学校は、教職員や福祉の専門家らで構成する防止対策組織を設け、基本方針を策定する−−などとされている。 法成立から1年になることから、約1800の全都道府県・市区町村教育委員会と国公私立の全小中高校など約3万9000校を対象
NPO法人「性障害専門医療センター」(SOMEC、東京)代表理事を務める精神科医の福井裕輝氏(44)と向かい合った60代の男性評論家が突然、声を張り上げた。 「治療なんかで何ができる。俺はまともだ」 5年ほど前のこと。評論家は30代女性へのストーカー行為で執行猶予付き有罪判決を受け、弁護人によって半ば強引に治療に連れてこられていた。 治療は週1回、90分。福井氏が評論家の言い分を聞きながら「今後どうやって生活するのか」「奥さんとの関係をどう立て直すのか」と次々と質問を投げかけ、自身の立場や将来設計を考えるよう導いていく。当初、女性への恨みや苦しみを吐露していた評論家は、2カ月もすると「生活をやり直さないと…」と現実的な話題を口にした。4カ月後、生き生きとした表情が蘇り、声にも力が戻った。 「気持ちを話すことが安心感につながった。過去の自分の状態を距離を置いて眺められるようになった」
企業で大人の発達障害について講演する姜昌勲医師。「医療のみに頼らない支援体制が必要」と話す(写真:産経新聞) 「部屋を片付けられない」「不注意のための失敗が多く転職も頻繁」。発達障害の一つ、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状に悩む大人の受診が増えている。大人のADHDとはどんな症状で、本人や周囲はどう対応したらよいのだろうか。 (安田奈緒美) 「台所で洗い物をしていて、他の用事を思い出すと洗い物をほったらかしにする。ひどいときは水を出しっぱなしのときも」 兵庫県芦屋市のキャリアカウンセラー、広野ゆいさん(41)はADHDの症状を持つ。子供のころは毎年通信簿に「忘れ物が多い」と書かれた。大学教授の秘書として就職したが、論文整理や金銭管理がうまくできず、うつ症状が現れた。結婚を機に退職。しかし主婦になっても片付けができない。夫に文句を言われ続けた。 どうして他の人にできることが、自分
ベルギー・ブリュッセル(CNN) 生後10カ月のエラルイーズちゃんは、小さな体でただ痛みに耐えていた。神経が破壊される難病、クラッベ病の末期。栄養補給をやめた体は「骨と皮だけだった」と母親のリンダ・ファンロイさんは振り返る。 エラルイーズちゃんはベルギーで2年前に亡くなった。苦痛緩和のための鎮静剤を投与されても苦しそうな表情は消えなかったとファンロイさんは言い、「娘は亡くなる前日まで苦しそうな顔をしていた。突然怒りがこみ上げてきた。その痛みを取り除ける薬が存在しないことは分かっていた」と話す。 薬剤を投与して、短かかった娘の命をもっと早く終わらせることができていたらという思いは、今でも消えないという。 ベルギーの上院委員会は27日、回復の見込みがない子どもの患者と認知症の患者にも安楽死の権利を認める法案について採決を行い、13対4の賛成多数で可決した。 法案は今後、上院本会議で審議
米カリフォルニア州ハリウッドのハリウッド大通りでピザを持って歩く若い女性(2013年9月17日撮影)。 【AFP=時事】雑誌で見たモデルのようにスリムになりたい米国の10代の少女たちが最近夢中になっているのが「サイギャップ」(太ももの隙間)だ。両足をそろえて立っても、太ももが付かないほど痩せた足が良いとされる。 ダイエットの決め手は「賞金と競争」、米研究 交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)やブログサービスのタンブラー(Tumblr)、画像共有SNSのピンタレスト(Pinterest)には「太ももの隙間」の写真があふれ返っている。「成功」を見せびらかしたい少女や、逆に自分では「失敗」だと思っている少女たちが投稿した、時に目も当てられないほど痩せ細った足のアップ写真だ。 「このスキスキの隙間を見て」と書き込むユーザーもいれば、「みんなで一緒にきれいなサイギャップ、ぺた
弘前大学教育学部の「ネット・ケータイ問題」研究プロジェクト(代表・大谷良光教授)が、青森県内の中・高校生のインターネット依存の実態の調査をまとめた。その結果、高校生より中学生のほうが依存傾向が高いことが分かった。 調査は昨年5月、中南津軽地区、三八地区、東西津軽地区から公立の中学と高校を各1校ずつ選び、中学3年生、高校2年生にアンケートした。有効回答数は計1017。ネット依存の分析は、携帯利用率が97・9%の高校生と比較するため、中学生は携帯か自分のパソコンを持っている232人を対象とした。 調査結果によると、インターネットの1日の平均利用時間は、6時間以上が高校生が4・5%、中学生が6・9%だった。3〜6時間は高校生24・3%、中学生22%。
兵庫県川西市で昨年9月に自殺した県立高2年の男子生徒(当時17歳)がいじめを受けていた問題で、県警は1日、悪口を言うなど男子生徒を侮辱したとして、同級生で同校3年の少年3人を侮辱容疑で神戸地検に書類送検した。 インターネット掲示板への中傷の書き込みではなく、学校での口頭での悪口に同容疑を適用するのは異例という。 捜査関係者によると、3人は昨年5〜6月、他の生徒の前で男子生徒を「菌」などと呼んだほか、男子生徒の椅子に死んだ蛾(が)を置いてからかうなどし、公然と侮辱した疑い。 男子生徒は昨年9月2日に自宅で首をつって自殺した。他の生徒からいじめをうかがわせる情報が寄せられたため、県警が捜査し、3人から「ムシ」と呼ばれるなどのいじめ行為を受けていたことが判明したが、自殺との因果関係はわからなかった。 遺族は今年1月、〈1〉菌と呼ばれる〈2〉虫を食べさせようとする〈3〉男子生徒の筆箱でキャ
昨年10月に施行された障害者虐待防止法に基づき各自治体が虐待通報を受け付け始めておおむね3カ月間で、認定された障害者虐待が全国で758件に達したことが毎日新聞の調べで分かった。障害者虐待を巡る国の統計はこれまでなく、全国レベルで総数が判明するのは初めて。専門家は「全体像が不明だった障害者虐待に対応する上で貴重なデータだ。施策に生かしてほしい」としている。 防止法は、通報窓口の設置を都道府県と市区町村に義務付け、初期対応は市区町村が担う。毎日新聞は、都道府県を通じて市区町村を含む虐待の通報・対応状況を照会。39都府県は昨年末までの3カ月間の状況を回答し、一部の県などは施行後2カ月など把握済みのデータを回答した。 この結果、通報総数は47都道府県599市区町村で2529件(市区町村分2340件)に上り、このうち虐待があると認定されたのは44都府県318市区町村の758件。家族からの虐待が6
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