「……あったかいですね、プロデューサー」 「……最近とても寒いですからね」 カポーン、と効果音が鳴りそうな間が開く。 隣には鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌に、目を細めてお風呂を堪能する楓さん。 水滴の浮かぶ真っさらな肌から目をそらすべく、俺は顔を反対に向けて壁と見つめ合う。 いかんせん我が家のバスタブは二人以上で入る事は想定されておらず、そこまで広くはない。 肩や足が肌同士で直接触れてしまっているが、なんとか心に般若心経を流して気持ちを抑え込んだ。 「もう。目を背けちゃメッ、ですよ……ふふっ」 両手で顔を無理やり楓さん側に向けられた。 そんな楓さんの頬も、ほんのり紅く染まっている。 お風呂だから少し身体が熱いのか、それとも内心はやっぱり恥ずかしいのか。 そんな表情に昂ぶる心を、般若心経のサビでなんとか紛らわした。 ……なんで、こんな事態になっているんだろう。 事の始まりは、俺の家で一緒にお酒
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