【本の話をしよう】自身も短編好きという川上未映子さん。初の短編集では世界がドライブする瞬間を鮮やかに切り取った=東京都文京区(宮川浩和撮影) ≪2人でいるときの深い孤独≫ たゆたう時間の甘やかさと、世界が動き出す瞬間のきらめき。芥川賞作家、川上未映子さん(36)の初短編集『愛の夢とか』は、それらを7つの物語の中で鮮やかに切り取った。 『アイスクリーム熱』『お花畑自身』『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』…各話のタイトルを並べるだけで、女性ならうっとりしてしまうはず。「『きらめき』を描くために身の回りのものを切り取っていったら、自然とこうなった。やっぱり私も女子だったんだなあって感じです(笑)」 ■1人でいるよりも 作品は2007年から12年にかけて発表されたもの。書かれた時期は異なるが、トーンは共通している。夫婦であったり、隣人だったり…いずれも、「私」と「相手」のささやかだけれど濃密