フィリピンパブを研究の対象に選んだがゆえに、人生が一変するドラマに巻き込まれていく大学院生の実体験をまとめた中島弘象(なかじま・こうしょう)の『フィリピンパブ嬢の社会学』(新潮新書)。映画監督の白羽弥仁(しらは・みつひと)は、なぜこの本を映画化しようと思ったのか。 ──『フィリピンパブ嬢の社会学』を映画化しようと決めたポイントは何だったのですか? 複合的な面白さがありつつも、これをシナリオにまとめたら純愛ラブストーリーになるだろうなという単純さもあったからです。それでまず、この著者の青年に会いたいと思いました。 それで、一青妙さんの『ママ、ごはんまだ?』を映画化したいと思ったときと同じく、すぐ会いに行ったんです、名古屋まで。向こうは最初、キョトンとしていましたけど。 ただ原作はノンフィクションとはいえ、あくまで彼から見た世界が書かれているので、彼女側の視点は必要だろうなと思ってはいました。