※本稿はWorld Security IntelligenceのWSI Commentary Vol.1 No.1 (August 2014)に掲載されたものです。 はじめにウクライナ東部(ドンバス)では、現在、ウクライナ軍が優位を確立しつつあるように見える。5月までは親露派がドンバスの広い領域を占拠し、さらに5月11日の住民投票でドネツク州とルガンスク州がそれぞれ「人民共和国」としてウクライナからの独立を宣言するなど、親露派側の優勢が目立っていた。そもそもウクライナ軍は長年の軍改革の失敗などから戦闘力が大きく低下しており、この意味でもウクライナ政府側による親露派の相当は困難と見られていた。 だが、5月25日にウクライナ大統領選挙が行われ、6月7日にポロシェンコ政権が成立した前後からウクライナ政府は掃討作戦を強化し、前述のように今やウクライナ政府は軍事的優位に立ちつつある。そこで本稿では、