長らく一人暮らしの父が死んだ。 アパートの隣人が、数日間顔を見せない父を不審に思い、 住み込みの大家さんにドアを開けてもらったところ、 風呂場で倒れている父を見つけたそうだ。 連絡を受け急ぎかけつけたが、父は遺体保管場所にいた。 なんでも腹部に多数の切り傷があったため、検死を行うらしい。 確認のために写真を見せられたが、確かに腹部に切り傷があり リストカットを繰り返した手首のように傷が盛り上がっていた。 まだあたらしい傷もあった。原因は思い当たらなかった。 検死は1週間もかかったが、わかったことといえば 死因は腹部の傷とは関係なく、心臓発作ということだった。 結局、おびただしい傷の原因はわからなかった。 そんな父の遺品整理を先週末にしていたところ、 机の引き出しに入っていたデジカメに生前の父が写っていた。 写真の父は軍服を着て腹にはサラシをまき正座をしていた。 そして短刀で腹を切っていた。