シカが線路に迷い込み、列車と衝突する事故が増えている。JR各社は対策に追われているが、決め手に欠けるのが現状だ。 約64万頭のエゾシカが生息するとされる北海道。昨年度、シカが原因でダイヤに影響が出た件数は2029件に上り、02年度(697件)の約3倍に増えた。今年度上半期も763件あり、昨年度を上回るペースだ。 昨年11月、千歳市と苫小牧市の市境付近で起きた特急列車とシカの衝突は、JR北海道の悩みを一段と深くした。従来の事故は道東、道北の山間地が大半だったが、札幌周辺や太平洋岸にも広がってきたからだ。担当者は「行動範囲が広がり、対策が追いつかない」とため息をつく。 検討した防止策は多岐にわたる。光で驚かせるソーラー式ライトの設置は、1本1万円と費用がかさむため断念。害獣駆除に効果のある超音波も、人への影響が懸念され実施されなかった。においで遠ざけようと、芳香剤を置いたり、実験的にライ