「震災から3ヵ月が経ち、ようやく復興への道筋が見えてきた」—。福島や栃木の観光業者は、この言葉を聞くたびに怒りに震える。観光地の惨状を知れば、こんな言葉は容易に口に出来なくなる。 旅館がどんどん潰れていく 「お客さんが来ないので、新しく土産物を入荷しても意味がない。だから入荷を止めているんですよ。それで店内ががらんとしているんです。経営はジリ貧。飯盛山で自害した、白虎隊の心境が分からんでもないね」 会津若松市で土産物屋を営む男性は、力なく微笑みながらこうこぼした。 福島県にとって観光業がどれほど重要な産業であるかは、あまり知られていないかもしれない。福島のコメの出荷量は全国4位を誇り、その年間出荷額は948億円。コメをはじめとする農業が県の一大産業となっていることは周知の通り。だが、2011年度版「観光白書」によれば、福島県の観光消費額は四半期だけで約897億円と、コメの年間出荷額とほぼ同