「意識の移植が確立し、機械の中で第二の人生を送ることが可能になるのはほぼ間違いない」と始まる冒頭。面白くないはずがない。ワクワクしながら読み始めると予感は的中した。脈々と続く中公新書の理学リストにまた新たな良書が加わった瞬間に立ち会った感動を覚えた。脳から意識はどう立ち上がるのか、人工的に意識をデザインできるのか、そもそも意識とは何か――。神経科学の中でもとりわけ深遠で、多くの研究者ができれば
![脳の意識 機械の意識 渡辺正峰著 - 日本経済新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ced04485c08043ab1678fe0a4efbab7b4f5a0654/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Farticle-image-ix.nikkei.com%2Fhttps%253A%252F%252Fimgix-proxy.n8s.jp%252FDSXKZO2589552019012018MY5000-2.jpg%3Fixlib%3Djs-3.8.0%26auto%3Dformat%252Ccompress%26fit%3Dcrop%26bg%3DFFFFFF%26w%3D1200%26h%3D630%26s%3D4f835aabba5b1e6607b7ecebb18fc058)
「意識の移植が確立し、機械の中で第二の人生を送ることが可能になるのはほぼ間違いない」と始まる冒頭。面白くないはずがない。ワクワクしながら読み始めると予感は的中した。脈々と続く中公新書の理学リストにまた新たな良書が加わった瞬間に立ち会った感動を覚えた。脳から意識はどう立ち上がるのか、人工的に意識をデザインできるのか、そもそも意識とは何か――。神経科学の中でもとりわけ深遠で、多くの研究者ができれば
(中公新書・994円) 主観と客観つなぐには 人間について考える時知りたくなる一つが意識だろう。科学でこの課題に取り組むなら、当然脳のはたらきを考えることになる。もっとも、「物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳」のはたらきだけで意識が語れるだろうかと思う人は多いだろう。脳神経科学者である著者は、意識は脳のはたらきとして解明できると確信している。「意識の移植が確立し、機械の中で第二の人生を送ることが可能」と考え、それを選択したいとも言う。評者は、これには同調しないけれど、意識への新しい取り組みとして新たな「自然のルール」の導入を意図するという著者の言葉には惹(ひ)かれる。意識をどのように捉えるにしても、それを知りたいと思わせるものがある。 意識といっても漠としているので、対象を、「感覚意識体験」(クオリア)に絞り、視覚、具体的には「両眼視野闘争」で研究を進める。まず右眼に縦縞(たてじ
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