ブックマーク / president.jp (69)

  • おみくじの"大吉"に喜ぶ人に教えたい故実 | プレジデントオンライン

    凶を引いて「最悪だ」と凹む息子にかける言葉 今年もたちまち過ぎて残り1カ月にも満たなくなってしまった。光陰矢の如し、とはよく言ったもので、つい先日、初詣に行ったと思ったら、次の年の初詣がすぐそこまでやってきている。 今年の正月に引いたおみくじは、確か大吉だったと記憶している。とはいえ、何が書いてあったかは覚えていない。ただ、その時の物寂しい気分だけが思い出される。そして、凶を引いて「最悪だ」と凹んでいる息子に、「凶というのは、凹んだ中から芽(メ)が出る兆しのことだ」と話をしたのを思い出した。 おみくじの起源は「フェミニズム運動の資金捻出」だった もののによれば、おみくじの原型は、平安時代に天台宗の最高位にあった良源(通称、元三大師)が考案したものであるという。おみくじは、いまでは神社の専売特許のようだが、その出自は仏教にあったわけだ。それが現在の形になったのは、明治38年のことらしい。な

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  • 中国を変えた"信用格付けシステム"の怖さ だれもが「品行方正」に激変した (4ページ目)

    予測アルゴリズム対策として、積極的に「品行方正」に 要するに、中国では、信用度の向上や維持がすでに死活問題になっているのだ。実際、中国では信用度を上げるための攻略法がSNS上で盛んに情報交換されている。それによれば、支払期日の厳守は言うに及ばず、SNS上の交友関係を広げることや、人の信条や価値観に関わりなく積極的に寄付を行うことなど、さまざまな試行錯誤が試みられており、得点を得るための対策に必死な様子がうかがえる。 人々が生活の利便性や豊かな人生を求めて、つまり予測アルゴリズムへの対策として、積極的に「品行方正」になろうというのだから、人びとの規範意識を高めることに苦労してきた統治者にとって、これほど都合の良いことはないだろう。 中国政府が予測アルゴリズムに関心を示し、「社会信用システム」を構築しようとする理由は、まさにここにあるのだ。このような仕組みは、国務院が通知した「社会信用システ

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  • 中国を変えた"信用格付けシステム"の怖さ (3/4) | プレジデントオンライン

    信用度が高ければ、さまざまな「前金」が不要になる 中国では、車のレンタルや不動産賃貸、手術などの高額な治療、図書館の貸し出しといった公共サービスに至るまで、サービスの大半にはデポジット(いわゆる前金)が必要だ。それだけ中国では、他国では成立するような信用をベースにした取引が困難なのだ。 しかし、信用度の得点が高いと、そうしたデポジットが免除される。さらに病院での受診、海外渡航のためのビザの取得、金融商品の金利などでも優遇が受けられる。信用度が高いほど、生活の利便性が向上するのだ。 人々が自分の能力やキャリアを高めることで、あるいは社会的なルールをきちんと守ることで生活の利便性が向上するなら、個人にとっても、社会にとっても好ましいことのように思う。ところが、この仕組みには深刻な問題もある。 このままだと「低得点者」との交友を望む人はいなくなる 例えば、故意でなくとも過失の累積により得点

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  • 中国を変えた"信用格付けシステム"の怖さ だれもが「品行方正」に激変した (2ページ目)

    中国政府の直接的な指導下にある業界団体が筆頭株主に この百行征信用は、業界団体である中国インターネット金融協会が36%を出資し、パイロット展開を許可された民間企業8社がそれぞれ8%ずつ出資して設立された、企業横断的かつ全国統一的な信用調査機関だ。 中国政府の直接的な指導下にある業界団体が筆頭株主になったことから、信用調査機関としての主導権が当局にあることを、改めて内外に明示した形だ。中国の内閣にあたる国務院が通知した「社会信用システムの概要」でも、「信用情報の統一的な公開と共有を実現する」(国務院 2014)と明記されているので、上述の民間企業8社が保有する顧客データベースや予測アルゴリズムは、百行征信用を経由して、当局主導の社会信用システムに接続される可能性は非常に高いと言われているのだ。 そのため、「社会信用システム」の基的な仕組みは、芝麻信用などの民間企業が展開する「与信管理サービ

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  • 中国を変えた"信用格付けシステム"の怖さ | プレジデントオンライン

    中国人が急激に「品行方正」に変わりつつある。人々を変えたのは「信用格付けシステム」だ。この仕組みでは、個人が職歴や支払い実績、交友関係などから、350点から950点の「信用度」でランク付けされる。得点が低い人は、金融、不動産、医療などさまざまなサービスで「後回し」にされるため、みんな必死でマナーを守るようになった。しかし、これでいいのだろうか――。 「予測アルゴリズム」という画期的な統治の方法 広大な領土に多大な人口を擁する中国では、むかしから統治者は「いかに秩序をもたらすか」に頭を悩ませてきた。長い年月の中で、恐怖による圧政、寛容による仁政、教育による統制などさまざまな統治が試みられてきたが、ここにきて、ついに統治者は画期的な方法を手に入れつつあるようだ。その方法とは、「予測アルゴリズム」という情報テクノロジーのことである。 中国では、長年にわたり品生産や医薬品製造の安全性は保たれてお

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  • "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (5ページ目)

    ブランド側の物語よりも顧客の物語を それと、日ではいい服を買っても着ていく場所がないという問題も大きいと思います。同い年の友だちで、「結婚式がすごく楽しみ」という子がいるんです。自分が着飾っていく場が、結婚式くらいしかないから、と。わたしは職業柄、そういう機会は同年代よりはあると思うのですが、たしかにこういう仕事をしていなければ、結婚式や子どもの入学式、旅行先でちょっといいレストランに行くくらいしかおしゃれをする機会がないんですね。 服を売ろうと思ったら、それを着ていきたいと思う場所からつくることを考えないといけない。ディズニーランドが「スタジオ化」しているという話をしましたが、リンクコーデをしてインスタ映えする写真を撮るという目的で服を買う人が実際にいるわけです。今の女子大生たちはアトラクションにも乗らず、パレードも見ず、一見ディズニーランドかどうかわからないスポットで、まるで海外で撮

    "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (5ページ目)
  • "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (4ページ目)

    消費者に「所有」を強いないアプローチ いま、「限界費用ゼロ社会」「シェアエコノミー」といった言葉に象徴されるように、普通に暮らすためのコストは昔に比べたらどんどん下がっています。これがもっと進んで、ベーシックインカムは保障します、というところまでいったら人は何をしてすごすのでしょう。やはり体験しかない。でも現状、売る側は「買わせるための体験」という考え方しかしてないように見えます。そうではない、消費者に所有を強いないアプローチもあると思うんです。 わたしは最近ワンピースを買わなくなりました。とりわけ柄もののワンピースだったりすると、印象が強くて、何度も着れないんです。つまりコスパが悪い。いま、写真に写ることが非常に増えている時代なので、「あそこでも着て、ここでも着て」ということにはなりたくないですよね。だったらレンタルでいいんじゃないかと。昔考えていたのは、銀座や表参道にレンタル服のお店を

    "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (4ページ目)
  • "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (3ページ目)

    テクノロジーが消費者の「選択のストレス」を減らす 『小売再生』にとりあげられているニューヨーク・マンハッタンの「ストーリー」は、そういう従来の小売の常識にとらわれていないお店の典型ですね。1、2カ月おきに「愛」「旅」「男」「女」などのテーマで編集するギャラリーのような空間で、委託販売のマージンではなく、「展示料」で稼ぐという発想で、売り場面積当たり、百貨店の12倍の売上をあげているといいます。 これは「店舗がメディアになる」というときのとてもわかりやすい例ですが、彼らがやっているのは「世界観」の演出にほかならないと思います。世界観は細かい部分にこそ宿るものなので、世界観を演出するときには、照明ひとつ、鉢植えひとつにしてもおろそかにしてはいけない。ディティールを厳しく追及するほど、訪れた人が没入できる世界観ができる。ストーリーの場合は、その世界観に共感できるブランドが「展示料」を払うというモ

    "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (3ページ目)
  • "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (2ページ目)

    スタジオ化するディズニーランド 入場料を払えば、普段は手が届かないような服を自由に見ることができて、そこに「実際に着てみてもいいですよ」というサービスをつけらればさらに楽しい。当時はまだインスタグラムがここまで広がるとは思っていなかったのですが、すてきな洋服を着た自分の写真を撮って、シェアして、思い出に残す……ということができるんじゃないかと。 いま、親子や友人同士で髪型や洋服をおそろいにして楽しむ「リンクコーデ」がはやっていますよね。それで何が起こったかというと、ディズニーランドがスタジオ化しているんです。リンクコーデした自分たちの写真をインスタにアップする。それが増えていくとリンクコーデの「カタログ」になる。 昔はファッションの参考にするものとして雑誌くらいしかなかったのが、いまはインスタ上で多様なコーディネートのパターンを見ることができます。「じゃあ、今度はこれをまねしよう!」と言っ

    "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か (2ページ目)
  • "入場料"を払っても、百貨店に行きたいか なぜ「店舗のメディア化」が必要か

    ネット通販の拡大でリアル店舗は「やられっぱなし」だ。だが生き残りの方法はあるはずだ。世界的小売フューチャリストのダグ・スティーブンスは著書『小売再生』(プレジデント社)で、「店舗のメディア化」という道を説いている。この提言はどう評価すべきか。オンラインマガジン「新・小売概論」で日の小売業界への提言を続ける最所あさみさんに聞いた――。/聞き手・構成=プレジデント社書籍編集部 入場料を払ってでも行きたい百貨店 わたしは2012年に三越伊勢丹に入社しました。伊勢丹新宿店の大規模リニューアルの年です。リニューアルのテーマは「ファッションミュージアム」でしたが、できあがった空間を見て、たしかにきれいにはなったけれど、質的にはリニューアル前と変わっていないように感じたんです。 相変わらず売り上げのノルマがあって、伊勢丹カードも作ってもらわなければいけない。結局、ものを並べるために売り場を増やすと

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  • 酷暑でも"屋外学習"を強行する学校の論理 教育現場は健康リスクを軽視しがち

    愛知県豊田市の小学校で、小学1年生の男子児童が熱中症で亡くなった。1キロほど離れた公園で「虫捕り」の校外学習をした直後だった。なぜ酷暑にもかかわらず、屋外での授業が行われたのか。学校リスクを研究している名古屋大学の内田良准教授は「『日焼け止め禁止』という学校があるように、教育現場では健康リスクより教育的効果が重視されている。その結果、重篤な事故が起きてしまう」と指摘する――。 2018年7月18日、熱中症とみられる症状で児童38人が救急搬送された宮城県名取市立下増田小学校。午前9時ごろから全校児童が校庭に集まり、市制60年を記念する人文字の空撮が行われていたという。(写真=時事通信フォト) 5日連続で「高温注意情報」が出てていた 2018年7月17日、愛知県豊田市の小学校で1年生の男子児童が重度の熱中症である「熱射病」で亡くなった。 各紙の報道によると、当日は午前10時ごろから、1年生11

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  • ブロガー刺殺で"自粛"するのは大間違いだ 書き続けることがテロの否定になる (4ページ目)

    著名ブロガーやインフルエンサーの多くが、岡さんの犠牲を自分ごとに置き換えて恐怖を感じることは当然であり、それを責めることはできない。 岡さんの「芸風」の問題ではない 一方で、今回犠牲になった岡さんについて「恨まれた相手が悪い」「いじめられっ子の反撃だ」などといった趣旨の投稿も見受けられる。また、他の「炎上」の多い著名ブロガーやインフルエンサーに対して「芸風」の転換を要求するような投稿もある。 確かに、岡さんのブログでは、批評する相手に対する厳しい姿勢も多々みられた。ある種の敵が多そうな「芸風」であることは否めない。しかし、暴力はいかなる動機、理由をもってしても正当化されることはない。この期に及んで暴力を是認、ないしは肯定する意見を持つ人は、今一度想像力を働かせることが必要だ。 もし、自分の気に入らない言論に対して、暴力やテロで報いることが許されるかのような言説が広まれば、それは結果

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  • ブロガー刺殺で"自粛"するのは大間違いだ 書き続けることがテロの否定になる (3ページ目)

    NHKはスクランブルをかけろ」では解決しない…国民を苦しめる受信料問題の最もシンプルな解決法【2023編集部セレクション】

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  • ブロガー刺殺で"自粛"するのは大間違いだ 書き続けることがテロの否定になる (2ページ目)

    従来は、これらのリスクが発現するパターンとして、いわゆる「炎上」や掲示板SNSなどでの悪質な投稿、訴訟、怪文書の流布、また時として(身体的危害を加えない形での)物理的な嫌がらせなどが知られていた。しかし、今回の事件では「殺害」という最悪な形で、言論・発信活動のリスクが発現してしまった。これはまさしく「言論に対するテロ」に他ならない。しかも、それが一個人を標的にして起きてしまったということになるから深刻だ。 岡さんと同様にリスクを背負ってきた著名ブロガーやインフルエンサーが恐れるのも仕方がない。犠牲者が岡さんと判明した後、そうした人たちは「ひとごとではない」「私も気をつけます」といった趣旨の発言をしている。 「気をつける」では事件は防げなかった しかし、今回の事件の経緯を振り返ると、彼らが物理的に「気をつける」ことができる方法はほとんどないことが分かる。時事通信によれば、岡さんと犯人

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  • ブロガー刺殺で"自粛"するのは大間違いだ 書き続けることがテロの否定になる

    6月24日、有名ブロガーで、オンラインメディア編集長の岡顕一郎さんが福岡市で刺殺された。殺人などの疑いで逮捕された男は、犯行の動機について「ネット上のやりとりで恨みをもっていた」などと話しているという。報道ベンチャー「JX通信社」の米重克洋社長は「今回の事件は『個人の発信者』を対象にした言論テロだ。ブロガーなどが脅威を感じるのは当然だが、事件で萎縮することなく書き続けることが重要だ」と訴える――。 イベント直後に起こった事件 著名ブロガー「Hagex」として活躍していたオンラインメディア編集長の岡顕一郎さんが、福岡市内のイベントに出た後、男に刺殺された。この事件が今、大きな波紋を広げている。 朝日新聞などによると、Hagexさんは6月24日、福岡市内でネット上の炎上やトラブルやその対処法をテーマにしたイベントを開催。そしてイベント終了後、会場のトイレで犯人にナイフを刺され、その後病院で

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  • 東大発!AIの画像解析でガン発見率9割 「生物×IT」で世界のパイオニア (6ページ目)

    ソフトを臓器の再生医療に活用したい 【田原】将来の展望を教えてください。今後も受託開発が中心ですか。 【島原】共同研究と並行して、画像解析のソフトウエアを販売していきます。医療現場で使うには医療機器としての承認・認証が必要なので、現在申請中です。 【田原】その医療機器を入れると、大病院じゃなくても診断ができる? 【島原】はい。いまは医療の標準化が十分ではなく、医師の属人的な知見や設備によってばらつきが起こりがちです。一方、私たちが販売する予定のソフトウエアは、医師が普段使っている環境で使えます。公平な医療の実現というところにも貢献できるはずです。 【田原】そのソフトが現場に導入されると、医療費は増えるんですか。減るんですか。 【島原】私たちのソフトウエアは、病気の早期発見に寄与します。だから長期的には医療費の削減につながるし、何より患者さんのQOL(生活の質)を向上させることに貢献できると

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  • 東大発!AIの画像解析でガン発見率9割 「生物×IT」で世界のパイオニア (5ページ目)

    3年目には7億円の資金調達をして人を大量に採用 【田原】KLabを退職して自分の会社に専念したのは起業してから、どれくらい経ってからですか。 【島原】1年ちょっとです。副業として始めたら、思った以上にたくさんの依頼が来て3人だけでは対応しきれなくなってきました。新たに2人を採用することになり、もう腹をくくってやらなきゃいけないなと思って会社を辞めました。 【田原】ニーズが高かったんですね。どんな会社から依頼が来るのですか。 【島原】1年目はアカデミックなつながりで、国の研究機関からの依頼が多かったです。2年目は民間企業からの案件が増加。大手は設立されたばかりの会社に発注しませんが、1年目の実績を見て声をかけてくれたようです。分野はいろいろで、医療以外にも、海底や宇宙の画像の解析システムを開発したりもしました。会社設立2年目で、40件の案件があったでしょうか。 【田原】それほど需要があるなら

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  • 東大発!AIの画像解析でガン発見率9割 「生物×IT」で世界のパイオニア (4ページ目)

    目指したのは大学研究室と大企業の中間の存在 【田原】そこで聞きたい。パイオニアになろうと思ったのに、起業しないでグリーに入る。どうしてですか? 【島原】いま振り返ると、学生のうちに起業する選択肢はあったかもしれません。ただ、私はけっこう臆病な性格で、社会を何も知らずに起業すると悪い大人に騙されて失敗すると思って、まずは就職することにしました。条件は、ビジネスとグローバルの経験を早く積めること。グリーは当時、もっとも海外展開に勢いがあった会社の1つでした。 【田原】結局、グリーは1年で辞める。 【島原】グリーは難しい局面を迎えていて、入社後に海外拠点を次々に閉めてしまったんです。優秀な方が多く学ぶことも多かったのですが、海外経験を積むという目的を果たせそうになかったので、海外事業開発で人を募集していたKLabに転職しました。 【田原】KLabには何年? 【島原】合計2年です。ただ、転職して3

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  • 東大発!AIの画像解析でガン発見率9割 「生物×IT」で世界のパイオニア (3ページ目)

    「生物×IT」は21世紀を象徴する産業になると直感 【田原】車のエンジニアより、生物のエンジニアに可能性を感じたわけだ。 田原総一朗●1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。連載を収録した『起業家のように考える。』(小社刊)ほか、『日戦争』など著書多数。 【島原】はい。DNAには何十億という塩基対が並び、ゲノムからタンパク質ができて、タンパク質が組織をつくります。生物をつくるには、まずこの複雑な情報ネットワークを理解する必要があるので。 【田原】ところが、学部卒業後は大学院で遺伝子の研究を続けるのではなく、画像解析の研究室に入った。どうしてですか。 【島原】遺伝子の研究をやって思ったのは、実用化はまだ先だということ。遺伝子はタンパク質などをつくる設計図ですが、遺伝子が理解できて

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  • 東大発!AIの画像解析でガン発見率9割 「生物×IT」で世界のパイオニア (2ページ目)

    「作るべきは自動車ではなく、生物だと思った」 【田原】お医者さんでも、見過ごしや誤診が起こるんですか。 【島原】ガンかどうかは、CTやMRIの画像だけでなく、体に針を刺して組織を取る病理検査を経て最終的に判断されます。ところが、病理の専門医は日に約2300人しかいません。その人数で日全国のガンを調べているので、医師の方々はどうしても忙しい。また、診断も「このガンは顔つきが悪い」というように感覚に頼ったものが基準になることもあり、医師によって見解が分かれる場合もあります。そこを定量的な分析システムで支援すれば見過ごしや誤診を減らし、さらに医師が患者さんと向き合う時間を確保することも期待できます。精度も実用レベルで、約9割の感度でガンや脳疾患などを発見できるところまで向上しています。 【田原】世間では「AIが進化すると人間の仕事が奪われる」論がありますね。島原さんのソフトが普及すると、一部

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