よく「猫の手も借りたい」というが、原稿の締め切りが立て込んでいるときなど、猫の手はかえって邪魔である。 例えば、私は新聞・雑誌への執筆も多いのだが、書評の締め切り間際に時計をにらみながらキーボードを叩(たた)き始めると、まるで見透かしたかのように猫が机に飛び乗ってきて、一緒にキーボードを叩き始める。ひどい場合など、文書全体を選択して、削除キーを押すことまである(ホントの話です)。 最近、私は猫の邪魔に、ある傾向があることに気付いた。どうやら、私が元気なときは、あまり邪魔をせず、私がくたくたに疲れているときに頻繁に邪魔するようなのだ。いったい、なぜだろう? 私が不思議がっていると、(私より)猫の気持ちがわかる妻が「そんなの決まってるじゃありませんか。体に障るから、もうお仕事やめなさいって、わざと邪魔しにいくんですよ」と教えてくれた。 そう言われてみると、猫は確かに「仕事の邪魔」をしにくるよう