テレビでやってた『エイリアン』が怖すぎて、見るのを止めてしまったことがある(船長がヤツと遭遇するシーン)。ストロボに照らされ一瞬だけ映ったその姿は、今でもはっきり思い出せる、というか夢に出てくるトラウマだ。 『シャイニング』(小説のほう)は怖くてたまらないのに、どうしても止められず、結局完徹したことがある。物語のラスト、オーバールック・ホテルが迎えた凄惨な朝は、痺れるほどのカタルシスだった。 自分の経験だけど、不思議に感じる。 1. モンスターは存在しないと知ってるのに、どうして怖いのか? 2. なぜ怖いと分かっているのに、ホラーを読むのか? この疑問に、真正面から取り組んだのが、ノエル・キャロル『ホラーの哲学』だ。古今東西の哲学者、研究者、作家の言を引きながら、メジャー・マイナー問わず、映画や小説のホラー作品に共通する原則を考える。この検討の中で、この疑問に一定の解を導き出している。 た