世界史を病原体や伝染病と人類との関係から捉え直すと何が見えてくるのだろうか? 人類がさらに進化すれば、新たなパンデミックは防げるのか? 英国人の公衆衛生社会学者ジョナサン・ケネディに、イスラエル紙「ハアレツ」が聞く。 ジョナサン・ケネディ教授は、歴史をウイルスや細菌からつながるひと続きのものとして見ている。無数の人命を犠牲にする大疫病や伝染病は軍事クーデターや社会革命よりはるか前から存在していたし、それが人類を前進させてきた、とロンドン大学クイーンメアリー校の教授で公衆衛生社会学者のケネディは言う。 「われわれは病気を貧困と関連したものと見がちですが、ウイルス性疾患は社会発展の直接的な結果である場合が多いのです」 ケネディは「ハアレツ」紙のZoom取材に、英国ロンドンにある自宅から応じてくれた。新著『病原の起源──8つの疫病に見る世界史』(未邦訳)では、細菌やウイルスをネアンデルタール人の