著者の海部さんは国立科学博物館で人類史を研究していらっしゃいますが、台湾から沖縄へ古代の舟で渡るという実験を企画したということでニュースにもなりました。 その実験も、この本も現生人類がアフリカで生まれそこから世界中へ広がっていった過程を明らかにしたいという思いから為されたものです。 「日本人の起源」といった題材は他の本でも数多く論じられていますが、縄文人と弥生人の二重構造説などと言ってもやはり日本国内だけか、せいぜい東アジアの事例が研究されているだけのようです。 人類全体の移動の様子を再現するには世界的に遺跡・遺物の検討をする必要があるということでしょう。 アフリカで生まれた現生人類ホモ・サピエンスの祖先はその後約10万年ほど前にアフリカを出ました。 その後、徐々に広がって行きその過程であちこちに分散してその環境に適応し、様々な形態の特徴もできていき、それが現在の人種の分布につながっている