「大変です。局長が阪神ベンチにいました。それを見た堀キャップが、これできょうは阪神が負けるのか、と表情を曇らせてました」 虎番小松真也の試合前の第一報だ。それが取材報告よりも優先することかいな、と思ったものの、確かに聞き捨てならぬ事実ではある。現場に来ると阪神が負けるので有名な越後屋局長植村徹也が、何でわざわざ来るのか。入社3年目のピヨピヨ記者を不安がらせてどうする! すると今度は編集局にいる当番デスク吉松祐から電話だ。 「さきほど局長が『今から甲子園に行く。つまり阪神は負けるから、その時のネタは考えておけ』と言って出て行きました。ということで、負けた時用のニュースはありますか?」 世の中にそんな都合のいいニュースがあるかいな、という言葉を飲み込んで、越後屋襲来の理由を尋ねたところ… 実はこの日は、恒例の中日新聞社、産経新聞社の首脳が甲子園球場ロイヤルスイートで仲良く野球観戦する日。まあ、