ソマリア沖で海賊事案が多発し、この海域を運行する各国の船舶に甚大な被害を与えています。この状況は、日本の国民生活に直接影響を与える問題です。海賊被害の現状と日本の取組について解説します。 ■ソマリア沖・アデン湾で海賊が急増している 海賊行為は、かつては、マラッカ・シンガポール海峡に多く出没していましたが、主に周辺国の対策により、最近は大幅に減少しています。ところが最近、ソマリア沖・アデン湾での海賊事案が多発・急増しています。2003~07年のデータを見ると、東南アジアでは5年間で半数以下になっているのに対し、ソマリア沖・アデン湾・紅海では08年の年内の発生件数が07年の倍以上に増加しています。 ■ソマリア沖・アデン湾の特徴 ソマリア沖・アデン湾は、スエズ運河を経由して、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な海上交通路に当たります。スエズ運河を通過する船は必ずこの海域を通過しなければなりません。さら