先に【7月15日は日本の漁業が眠る日】でも解説したように、燃料費高騰などで漁業生産者は採算がとれないと頭を抱えているが、実は店頭小売価格のうち流通コストにほとんどを取られ、生産者に回ってくる手取額がきわめて小さいのも大きな要因。 販売店側が直接漁業者と取引を行うことで、漁業者は(中抜きがなくなるので)手取りを増やすことができる。イオンは新鮮な魚を店頭に並べることができ、仕入れ値を抑えることも可能となる。政府側もこのような直接取引きを間接支援策として推進しているが、今回の事例が具体的には初めてのものとなる。 すでに養殖魚を直接取引し、新鮮さの確保と中間マージンの削減を図る方法は他の企業も行っている。しかしいわば「当たるも八卦、当たらぬも八卦」とばかりに漁獲高が保証できない天然捕獲の魚の買い取りを、事前に約束する取引は企業側のリスクが大きくなるため、ほとんど行われていないのが実情。 今回の取引