G7(先進7カ国)の中で好調ぶりが際立っていたカナダ経済が、曲がり角にさしかかっている。中国系や中東系の移民を中心にした富裕層が不動産投資を活発化させ、バブルの様相を呈し始めたからだ。世界経済の不透明感が増す中、米国を含む主要国が金融緩和を競っていることも、だぶついた投機マネーを不動産市場に呼び込みやすくしている。カナダ政府は不動産融資規制の強化でバブルの芽を摘む狙いだが、不動産規制の強化でバブル崩壊の引き金を引いた日本経済の例もあり、かじ取りは難しい。 ◆移民中心に投資熱 カナダ・オンタリオ州の州都トロント。国際空港上空の機内から街を見下ろすと、建築中の高層ビルが立ち並ぶ光景が目に飛び込んできた。北米ではニューヨークに次ぐ規模の金融街を擁し、カナダ経済の繁栄ぶりを見せつけている。 カナダは米国に隣接しながらも、2008年のリーマン・ショック後の世界的な景気低迷の痛手を、最小限に食い止めた