先週末のシンガポールでの「アジア安保会議」は大成功だったようだ。日本の首相が初日の夕食会で基調講演を行い、それが高く評価されるなんて過去に記憶がない。今週はこの話から始めよう。 そもそもこの「会議」、公式の国際会議ではない。英国有力シンクタンクが毎年主催し、一昔前まではアジア各国の国防相が参加する中規模のシンポジウムに欧米の一部元首・閣僚が参加する「知る人ぞ知る」会合だった。 隔世の感とはこのことだろう。お世辞抜きで、今回安倍晋三首相と小野寺五典(いつのり)防衛相はよくやったと思う。 多くの参加者の注目を集めただけでなく、日本の立場に理があることを(中国を除く)世界に情報発信できたからだ。この点は欧米を含む複数の参加者に確認したので間違いないだろう。 安倍首相は中国の「オウンゴール」にも助けられた。会議直前、中国は南シナ海にオイルリグ(掘削装置)を持ち込み、ベトナム漁船を沈没させた。東シナ