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ブックマーク / finalvent.cocolog-nifty.com (13)

  • 安藤百福、逝く: 極東ブログ

    安藤百福が五日亡くなった。九六歳。天命とも言うべきかもしれないが、死に際して心筋梗塞で苦しくなかっただろうか。チキンラーメンの開発者であり、カップヌードル開発の事実上の総指揮者でもある。近年の連ドラ「てるてる家族」やプロジェクトX「魔法のラーメン 82億の奇跡」などで生前から伝説化が進んでいた。確かに日的な苦労とジャパニーズ・ドリームを実現したような人生である。が、日経新聞に掲載されていた「私の履歴書」の書籍化「魔法のラーメン発明物語」(参照)を読み返すと、そうしたわかりやすいグレートマン伝説とは少し違う、昭和史を体現した興味深い人物が浮かび上がってくる。 安藤が伝説のチキンラーメンの開発に取り組んだのは私が生まれた年、昭和三二年のようだ。その時、彼は四七歳。翌年開発に成功する。ざっくり見て、安藤百福の今日の栄光のスタートは五〇歳であった。顧みて四九歳の自分には人生をやり直してチャレン

  • ブログと金銭的インセンティブの辺り: 極東ブログ

    どういうふうに書いたらいい話題なのかよくわからないが、気がかりなので書きながら考えてみたい。発端は、ブログBigBang”オーマイニュースを巡る匿名性の問題について(2)---小倉弁護士に答える/ 心苦しいが鳥越編集長には勇退をお奨めする。”(参照)を読んでいて思ったことだ。最初にお断りだがエントリの批判ではないし、オーマイニュースへの批判でもない。 エントリの中心的な話題も、それはそれでとても重要なのだが、読後私はちょっと別の方向を考えていた。編集長が勇退する契機にはいろいろあるだろうが、一般的には経営状態である。雑誌なら編集長を変えることで刷新し売り上げを向上させたいものだ。そうした視点からすると、オーマイニュースと鳥越編集長の関係はどうなのだろうか。内容面で批判があるにせよ健全に運営されているのだろうか。つまり、利潤が上がり、投稿者=市民ジャーナリストに十分なキックバックが与えられて

  • 農地改革メモ: 極東ブログ

    ぼんやりと戦後史のことを考えていることが多くなってきているのだがその一環で農地改革のこともときおり考える。農地改革については二つの思いが錯綜する。一つは学校で学んだ、なんというか農奴解放みたいなお話。もう一つは私の母方が庄屋の系統だったので近親者からの体験的な話だ。その二つが入り交じる。もっともそうした錯綜感は農地改革に限らない。私は基的に戦後民主主義の申し子みたいな人なのでGHQによって日は解放されたと原点としては考えるのだが、五十年近く戦後の後の日人として生きてみると違和感は多い。 農地改革について当然一時期の政策としては成功としか言えないだろう。だが、大局的には失敗だったのではないかという思いがあり、そのあたりをきちんと社会学的にまとめた書籍などないものかと探すのだが、知らない。ないわけもないだろうに。簡単に読めるウィキペディアの同項を読むと(参照)私が中学校時代に学んだことと

  • イスラエル兵に志願した移民の若者: 極東ブログ

    こんな話を書くと「おまえの心は?」批判とか印象操作とかとか言われるのだろうか。しかたないか。それでも私は今回のイスラエルの軍事行動がよいとは思わないととりあえず断り書きしてから、心に引っかかっているこの話をちょこっとだけ書いておこう。 先日ラジオでオーストラリアのユダヤ系移民の青年がイスラエル兵となり今回のイスラエル・レバノン紛争で戦死したというニュースを聞き、心に重くひっかかっていた。 戦死したオーストラリアのユダヤ系移民の青年、エイザフ・ネイマー(Asaf Namer)君のニュースは、ネットを通して見るとそのガールフレンドと一緒の写真と報道されていて、いっそう痛ましさを覚える。ジ・エイジ”'Perfect son' dies at war in Lebanon”(参照)の冒頭を引用する。試訳を添えておく。 "THE moment he said he was going to Leb

  • 極東ブログ: 統帥権についてささやかなメモ

    今朝の朝日新聞社説”「侵略」と「責任」見据えて 親子で戦争を考える”(参照)は私には新味のないつまらないお話に過ぎなかったのだが、文中唐突に現れる「統帥」という言葉にひっかかった。この言葉は現代日においては日常語ではない。大衆紙の社説に使うのであれば、もう少しくだいた表現になるべきではないかと思うのだが、そうできない、あるいはそうしたくない含みを感じた。 実質的な権限はともあれ、昭和天皇は陸海軍を統帥し、「皇軍」の兵士を戦場に送り出した。終戦直後、何らかの責任を問う声があったのは当然だが、東京裁判には出廷さえ求められなかった。その権威が戦後の統治に必要だと米国が考えたからである。 戦後のGHQ統治に天皇の権威が必要ゆえに免責されたというのが歴史の解釈を超えて歴史の事実のように書かれているが、そんなことに目くじらを立てるものでもない。気になったのは、「昭和天皇は陸海軍を統帥し」という文言が

  • ゲド戦記の謎: 極東ブログ

    ゲド戦記の映画化というかアニメ化ということもあって、この物語の話題を耳にすることが多くなった。ゲド戦記については、どうしても気になることがあり、ある種難問に直面して行き詰まる。その心のひっかかりを率直にちょっとメモ書きしておこう。以下、この物語を読んでないかたにはスポイラーがあるのでご注意。 ゲド戦記は私のような読者にしてみると、三巻「さいはての島へ」で終わった物語であった。しかしそれで当に終わったのかというと、「極東ブログ: こわれた腕環(ゲド戦記2)アーシュラ・K・ル=グウィン」(参照)で触れた二巻の意味合いが難しい。ストーリーテリングとしては二巻は三巻と不整合ではないのだが、テーマとして見るなら三巻で一巻と二巻のテーマが統合されてはいるとは思えない。特に二巻に提出された大きな問題がある(女の質について)。なので、その部分だけこのブログであの特定の時期を背景として書いた。 ところが

  • 消費税一%引き下げ、でもカナダ: 極東ブログ

    七月一日からカナダでは消費税が一%引き下げになった。そう、下げ。消費税っていうは一度上げたら上がり続けるものかと思ったが、そうでもないってことがあるのだなとちょっと奇妙な感じがした。日国内のニュースではあまり伝えられていないようだが、どうなのだろうか。もっとも、この話、多少留保が付く。 一%なんかたいしたことないじゃんというのはあるかもしれない。24 Hours Vancouveというサイトの”News: Tax cuts sell, but who's buying?”(参照)を読んでいるとこれって些細だよねという感じ。 Perhaps you saved a few pennies on a coffee and doughnut at Tim Horton's today. (たぶん、今日からティム・ホートンズのコーヒーとドーナッツで数ペニー分倹約できる。) たいした税の引き下げで

  • 米産牛肉輸入再開、雑感: 極東ブログ

    米産牛肉輸入再開がこの二十七日に決定された。これに昨日ラジオで聞いた話を含めて少しメモ書きしておきたい。 米産牛肉輸入再開については今日付の読売新聞”米産牛肉、輸入再開27日決定…現地査察「問題なし」”(参照)にこうある。 BSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位である背骨の混入で米国産牛肉の輸入を再停止した問題で、農林水産省と厚生労働省は27日に輸入再開を正式決定する方針を固めた。 両省が米国に派遣していた調査団が21日、日向け肉処理施設35か所の現地査察を終了し、再開に向けて深刻な影響を与える違反などが見つからなかったためだ。 背景にはいろいろ議論があったがこのエントリではそこは触れない。 国内的にはというべきかネットの風景ではというべきか、米国牛肉への不信は大きいように見受けられる。反面カナダ牛の問題への指摘はあまり見かけない。ニュースはあった。十四日付けCNN”カナダで7例目のBS

  • シンドラーエレベータ事故雑感: 極東ブログ

    シンドラーエレベータ事故の真相がわからないし自分の経験から思うこともあまりないが、少しだけ書いておこう。いつもにもまして有益なエントリではない。 私は半田鏝でマイコン制御機器を作っていた世代ということもあり二十代後半世過ぎにその分野の仕事を少した。高度なメカ制御ではなく特殊なOA機器とかだったが、あの頃ついでにエレベーター制御のなども読み、そこにオペレーションズ・リサーチが応用されているのを知って興味をそそられた。以降エレベーターで長く待たされているとどんなアルゴリズムを使っているのか考えることがある。 今回の事件で、私が気になったのは制御系の問題ということはないだろうかということだった。私が制御機器開発をやっている頃ザイログ八〇が出てきて、割込もデージーチェーン方式というかソフト的になった。設計も変わった。これじゃハード屋は誤動作を簡単に追求できないかなと思ったものだ。もちろん設計はそ

  • コメ欄: 極東ブログ: 国民による国民のための国民の政府

    明け方ぼんやりしていていて、ふと、"government of the people, by the people, for the people"の定訳、「人民の人民による人民のための政治」(参照)が誤訳なんじゃないか。なんで「人民」なんだ?と思った。the peopleは、単純な話、「国民」でしょ。 日だと、日国があって、国民がいて、政府がある。で、この、"government of the people, by the people, for the people"というのは、政府というもの性質が、"of the people"国民に所属する、"by the people"国民が運営する(たぶん委託する)、"for the people"受益者は国民である、ということなんじゃないか。 もう随分前になるが、「極東ブログ: 試訳憲法前文、ただし直訳風」(参照)を書いたことがあるのだが

  • 電子レンジで作るえびせん(ってかパパダム): 極東ブログ

    ビールの季節だ。つまみは?と考えて、知人からもらったインドネシア土産のえびせんを電子レンジでチンと作ってみた。うめー。ヘルシー。 酒はもう飲めなくなっていたのだが、昨年あたりから少しくらいならワインとかビールが飲めるようになった。といってももともとビールとか好きではないのだが、キリンの豊潤(参照)とゴールデンホップ(参照)ならなんとか。 えびせんの作り方だが、パパダム一枚を電子レンジ強(五〇〇Wくらい)で一分、チン。ほいでできあがり。マジそんだけ。ついでに中国版の小さいえびせんチップを四枚を同じく一分、チン。これもできる。 それではあんまりなので、吉田よし子先生の「マメな豆の話―世界の豆文化をたずねて(平凡社新書)」(参照)より。 インドネシアの卓には、油でパリッと揚げたえびえせんが欠かせないが、インドの卓にも油で揚げた豆せんべい、パパダムが欠かせない。薄焼きせんべい状のパパダムはパ

  • Don't be evil. 邪悪になるな。: 極東ブログ

    Don't be evil. 邪悪になるな。ということだが、Googleという会社のモットーである。DO NO EVILのマントラとも言われる。英語版ウィキペディアにも項目がある(参照)。「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」(参照)などからよく知られているところだが、さっき届いた日版ニューズウィーク記事”IT業界の優等生はどっちだ(Actions and Intentions)”にも簡単に由来が書かれている。 グーグルで大事にされるのは自由な雰囲気。普通の大企業のようになることを恐れたある社員は、社中のホワイトボードの隅に「邪悪になるな」という言葉を書きつけた。これが社訓となった。 正確ではないかもだが、そんなところ。そのグーグルが邪悪になった。 日語で読める記事としてはITPro”米Google,自身が「evil」であることを認める ”(参照)がある。 予想よりも早い展開だった。

  • 難病と社会支援についてごくわずかに: 極東ブログ

    社会問題に関連する話題やブログで話題になっていることにはなるべくふれておこうと思うのだが、気が乗らない話題も多い。「さくらちゃんを救う会」を巡る話題もそれに近い。今回のこの話題に限らず難病支援の募金については、声高な支援者の人だけが救われるのかというやるせない思いが以前からあるし、特に米国での高額な医療が対象になる場合は、その医療を待つ人々のことも思う。私の誤解もあるかもしれないが、こうした問題は、お金があれば医療が受けられるというだけの問題ではなく、それを待つ他の人々の関係の問題があるかと思う。 支援の声が特定の誰かを救うという意図の場合、それと一市民としての自分がどう関わっていいのかそこもよくわからない。むしろ、一市民としての私は一般的な難病者と国や地方行政を介して関係を持つのではないかと考える。そうした場合、気になるのは、難病を扱う特定疾患の補助制度のありかたについてだ。 ニュースと

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