急激な円安・ドル高が、岸田文雄首相を正念場に追い込みつつある。円安は更なる物価高騰を招き、国民生活を直撃した。このままでは6月22日公示、7月10日投開票と見込まれる参院選への悪影響は避けられない。しかし円安政策の転換は「脱アベノミクス」を意味する。自民党内に強い影響力を持つ安倍晋三元首相との関係にヒビが入りかねず、首相は「物価の安定」か「党内の安定」かの二者択一を迫られている。 「円安について、急激な為替の変動は多くの関係者にとって好ましくないことだ」 首相は26日の記者会見で、こう懸念を口にした。首相が為替水準のよしあしに言及するのは異例だ。連日記者会見する松野博一官房長官も、約20年ぶりの円安水準である1ドル=126円を記録した13日から「為替の安定が重要で、急速な変動は望ましくない」との表現で市場をけん制し続けている。鈴木俊一財務相に至っては15日、円安による物価上昇が賃上げを上回