野坂昭如さんが亡くなったようだ。 まだ第一報が届いたばかりで、実感がわかないのだが、新聞社のウェブサイトがそう書いている以上、そういうことなのであろう。そんなわけなので、今回は、野坂さんについて個人的に思うところを書いておくことにする。 この数年、中高生の頃に仰ぎ見ていた人の訃報に接する機会が急速に増えた。 こっちがトシをとっている以上、若い時代にあこがれていた年長の人間が一足先にトシをとって行くのは理の当然であって、ものの順序からして、先に生まれた人間が先に死ぬことは、いたしかたのない展開ではある。おそらく、これから先は、より身近な人間や、同年輩の友人の葬儀に参列せねばならない機会が増えるのだろう。それもこれも自分が最後まで生きていられればの話ではあるが。 野坂さんの作品は、高校の頃にまとめて読んだ。それ以前も以後も、読んでいないと思う。 野坂さんに限らず、当時の小説家については、ほとん