チェンジビジョン 平鍋 健児 Ivar Jacobson(イバー・ヤコブソン)氏は初期のUML(共通モデリング言語:Unified Modeling Language)設計者の一人であり、ユースケースの発明者としてオブジェクト指向の歴史に名を刻んだ人物である。本特集では、同氏みずからUMLに関する最新のアイデアを明かした解説をお届けする。UMLのこれまでと課題、今後進むべき方向性を概観するのが目的である。 今回はイントロダクションとして、Jacobson氏がこのような考え方に至った経緯と現在のソフトウエア業界の状況を、筆者が解説する。次回からは、実際の記事の和訳をJacobson氏の許可の下に3回に分けて掲載する。 ソフトウエア開発の標準として定着 UMLは当初、オブジェクト指向設計方法論の統一記法として標準化された。その後、ソフトウエア設計だけでなく、ビジネスプロセスの記述、システム仕様