料理で大切なことは、「楽に」「楽しく」すること。どちらも必要十分に書いてある本書は、読むだけで腕を上げることができる。 おいしい料理を作るため、頼もしい味方となるのが小林カツ代。しかし最近、「小林カツ代」の看板に、完成品の写真を並べただけのカタログ本が出回っている。初心者向けなら必須のはずの手順毎の図解が無く、慣れてる人にはレパートリーが少なすぎ。 だが心配無用、語りかけるようなカツ代節で、文庫一冊に74品を詰め込んだのが本書になる。一品あたり3分くらいで読めるエッセイと、「語り」を1頁に凝縮したレシピで構成される。慣れてる人向けだけれど、料理初心者もこんな語りならイメージが湧きやすいだろう。ノーベル賞級の発見「かゆくなりにくい里芋の剥き方」より引用する。 まず里芋をきれいに洗って、水をヒタヒタにして一回ワーッと煮立てるんです。フーッと噴いてきたら2~3分そのままに置いて、すぐ冷たい水に取