タグ

ブックマーク / honz.jp (364)

  • 『オリバー・ストーン オン プーチン』正義の反対は悪ではなく、また別の誰かの正義であることについて - HONZ

    「正義の反対は悪ではなく、また別の誰かの正義である」という言葉があるが、それをまざまざと感じさせるインタビューだ。 日頃のニュース報道をどれだけ注意深く見ていたとしても、プーチンの実像など、なかなか見えてこない。元KGBの工作員であり、独裁者であり、言論の弾圧や人権の侵害でも、よく批判される。だが時に起こす大胆な行動に、世界は度々驚かされてきた。このミステリアスなプーチンの素顔に迫ろうと試みた映画監督ーーそれがオリバー・ストーンである。 作家と編集者、あるいはピッチャーとキャッチャー、力量の釣り合った者同士でないと、1+1を2以上にすることは難しいが、インタビュアーとインタビュイーの関係もまた同様である。オリバー・ストーンは、いわゆる政治と異なる世界の住人であるがゆえの大胆さと、数々の俳優とやりあってきたであろう執拗さで、被写体を丸裸にしようと試みた。 一方受けて立つプーチンも、したたかだ

    『オリバー・ストーン オン プーチン』正義の反対は悪ではなく、また別の誰かの正義であることについて - HONZ
  • 『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』男女の悩みは世界共通! - HONZ

    著者のジャンシー・ダンと夫のトムは10年一緒に暮らした後に娘を授かった。仕事は二人ともライターで大人しいタイプ。だから上手くやっていけるに決まっている。だがその思いは赤ちゃんが生まれた直後に裏切られた。ゴミ箱の中の使用済みオムツを片付けない夫にキレたのだ。 クソ野郎。この野郎。死んじまえ。 それから6年が経ち、家事をほぼ一人で担当するジャンシーは、夫に怒りを爆発させ続けている。なぜ女性だけが育児をさせられ夫は協力しないのか。 ここで一つの疑問が生まれた。愛する娘の誕生がなぜ夫婦関係を壊してしまうことになったのだろう。その謎を探り、結婚生活を元に戻すため、仕事で知りあった様々な専門家を訪ね、夫婦のカウンセリングをしてもらうことにした。 ハーバード大学進化生物学教授には、男性が家庭から逃避する適応的理由があるかと問い、事あるごとに家から脱出したがる男の心理を理解しようとする。離婚寸前カップルの

    『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』男女の悩みは世界共通! - HONZ
  • 『降伏の記録』死へ向かう夫へのメッセージ - HONZ

    この秋、思いもよらない入院生活を体験することになった。幸いにも今後長期にわたる治療が必要になるような病気ではなかったが、それでも2週間ほどの入院が必要だと言われた。 それからが大変だった。ぼくの体調ではない。我が家の生活の話である。子どもはまだ小さいうえに仕事がある。お互いの親は介護状態だったり遠方に住んでいたりで気軽に助けを求められるような状態にはない。もともと家事は完全に分担していたから、はいきなり作業量が倍になることになる。そこに病院との往復も加わるとなると、一挙に生活が回らなくなってしまうのだ。我が家の日常がいかに危ういバランスのうえに成り立っていたかを思い知らされた。 それでも我が家の場合はまだゴールが見えていたから、なんとか踏ん張れた。これが先の見えない闘病生活だったらどうなっていたことか。病床で写真家・植一子の『降伏の記録』を読みながらそう思った。 植の夫はラッパー

    『降伏の記録』死へ向かう夫へのメッセージ - HONZ
  • 『彼女たちの売春』文庫解説 by 三浦 しをん - HONZ

    10年ほどまえ、京都の某ホテルのロビーで、わりといいスーツを着た人品いやしからぬ感じのおじさまと、真夏でもないのに下着みたいなワンピースを着た20代前半のきれいな女の子を見かけた。 おじさまは女の子をロビーのソファに座らせ、自分はフロントでチェックインの手つづきをしている。私がなぜ、その2人の動向に注目していたかというと、女の子の顔から表情がごっそり抜け落ちていたからだ。 親子でも親戚でも出張に来た上司と部下でもないよな。2人の関係は、もはや明白だよな。ものすごくもやもやした。よっぽど、「あれ、ミサちゃん(咄嗟の仮名)? やだ、ひさしぶりー」と、女の子の知りあいのふりをして声をかけてみようかと思った。そうすればおじさまが退散するかもしれないし。でも、余計なお世話かなという気がして、実行には移さなかった。 私はそのまま夕飯をべに出かけ、4時間後ぐらいにホテルまで戻ってきた。すると偶然にも、

    『彼女たちの売春』文庫解説 by 三浦 しをん - HONZ
  • 『パパは脳研究者』科学的視線で子供の成長を分析 「そうだったのか!」が満載 - HONZ

    ただいま子育て真っ最中の脳研究者・池谷裕二さんが、親バカぶりを遺憾なく発揮しつつ、一方で科学的な視線で子供の成長を分析する。そのバランスが素晴らしい。「あるある!そんなこと!」と引き寄せられつつ、いつの間にか知識を得られるのだ。 出産時に大量に分泌されるオキシトシンというホルモンは母親を「何があってもこの子を守ろう」という気持ちにさせ仲の良い人をより強く信頼するようにさせるが、それ以外のものには強い警戒心を抱き攻撃的にさえなる。子供を守るためにこそ大切な作用なのだが、さて、パパさん。もしママさんから「この人はともに子育てする頼れるパートナー」とみなされなければ大変なことに。「子供が生まれてからが冷たい」などと愚痴をこぼしているパパさんは、妊娠・出産の過程でママさんの「信頼できる人」の枠に入りそびれているのかも。が、男性でも子育てに積極的に関わるとオキシトシンが出るそうだから諦めずにがんば

    『パパは脳研究者』科学的視線で子供の成長を分析 「そうだったのか!」が満載 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2017/10/23
    たとえばお絵描きで「上手だね・偉いね」と「行為」そのものを褒めてしまうと、子供はかえって意欲を失うのだそうだ。ではどうするかといえば「この絵はいいなあ」と「成果」を褒める。
  • 『こわいもの知らずの病理学講義』 病は理から、理は言葉から - HONZ

    「十分に発達した科学は、魔法と見分けがつかない」とはSF作家アーサー・C・クラークの言葉だが、現代社会は魔法としか思えない科学であふれている。急速に発達し続ける科学は生活をより便利なものにしてきたが、深化した科学の中身はより理解が困難になっている。生活必需品となったスマートフォンを例にとってみると、その魔法のような機能の全てを科学的に説明できる人などほとんどいないはずだ。 進化を続けているのはIT関連技術だけではない。分子生物学の発展により、20世紀後半から生命科学は爆発的に進歩しており、新たな薬や治療法がニュースの紙面を飾らない日はない。著名人が実践した先端医療は大きな話題を集め、多くのフォロワーを生む。気を付けなければならないのは、世間をにぎわせる医学情報には誤りが多く、時には有害であるということ。医学を魔法のままにしておくことは、ときに生死に関わりうる。DeNAが運営していた医療情報

    『こわいもの知らずの病理学講義』 病は理から、理は言葉から - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2017/10/20
    講義後半までしっかり読み進めれば、「がんもどき」理論が“理論”と呼べるものではなく、「アホな説」であることが良く分かる。
  • 『こわいもの知らずの病理学講座』情報の洪水に溺れる前に - HONZ

    うちは多分、がん家系だ。父は珍しい腎臓がんに始まり、胃がん、皮膚がんの果てに88歳で末期の肺がんが見つかりこの世を去った。最近、弟に初期の胃がんが見つかり内視鏡で切除した。かなりまずい。 医師の告知が普通になり、インターネットで情報が簡単に手に入るようになった。命に関わるだけでなく生活の質(QOL)を向上させるためにも、正しい病気の知識を解説したが欲しいと思う人は多いだろう。 著者の仲野徹は大阪大学大学院医系研究科教授で病理学を教えている。「エピジェネティクス」という最先端医学の泰斗であり『幹細胞システムにおける細胞分化機構の解明』という研究で日医師会医学賞も受賞している立派な研究者なのだが、猛烈な読書家であり、趣味は義太夫語りという多趣味で多才な人でもある。 仕事柄、人から病気について尋ねられることも多く、一般の人の知識不足を嘆いていたある日、ふと気づく。「自分で書いてみよう」。

    『こわいもの知らずの病理学講座』情報の洪水に溺れる前に - HONZ
  • 『たいへんな生きもの』問題を解決するとてつもない進化 - HONZ

    生きることは問題だらけだ。 仲間との競争あり、べ物にありつけなければ明日はなく、絶えず捕者に狙われ、もちろん愛のお相手も見つけなくちゃ…… いま地球上に棲息している生きものは、こうした問題を、進化の途上で解決してきた「つわもの」揃いだ。——(といっても、生きもの自らの意思によって解決したわけではなく、 たまたま変異によってうまくいった結果なのだが)—— その解決策には、人間から見ると実にオドロキで、奇想天外、恐怖と感涙と爆笑がともに襲ってくるようなものまである。 書は、そんな中でも「とてつもない」やつだけを選び抜いた傑作集だ。たとえば、こんな生きものが…… 後の死骸を背にしょって サシガメというカメムシの一種は、獲物に近づき、長く突き出た口を突き刺す。そして相手をマヒさせる毒を放って、その体液を飲む。 もちろん、獲物のほうも、そう簡単には

    『たいへんな生きもの』問題を解決するとてつもない進化 - HONZ
  • 『仕事と家庭は両立できない?』男性の平等が達成されなければ、女性の平等も実現しない - HONZ

    仕事と家庭は両立できない?-「女性が輝く社会」のウソとホント』(原題:Unfinished Business: Women Men Work Family)の元になった、The Atlantic誌2012年7-8月号の論考『女性は仕事と家庭を両立できない!?』(原題:Why Women Still Can’t Have It All)の中で、アン=マリー・スローター教授が訴えた現代社会の「不都合な現実」は、フェミニズム先進国のアメリカ社会で大論争を巻き起こした。 フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOが、働く女性の意識改革を訴えて全米大ベストセラーとなった『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(原題:”Lean In: Women, Work, and the Will to Lead”)の出版からまだ数か月という時期に、元国務省高官で現プリンストン大学教

    『仕事と家庭は両立できない?』男性の平等が達成されなければ、女性の平等も実現しない - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2017/09/26
    アメリカの経済と社会の構造が今のまま変わらないのであれば、仕事と家庭の両立は、大学教授などの一部の特殊な職業を除いて、女性にとってだけでなく男性にとっても無理だという「不都合な現実」なのである
  • 世界一の戦闘飛行機を創った男『銀翼のアルチザン』 - HONZ

    「疾風(はやて)」。離陸速度、最高速度、旋回、急降下等、その性能の高さは世界の中でも群を抜き、第二次世界大戦中、米国軍に「悪魔の機体」と名付けられた。それだけではなく、何よりもパイロットの安全を考え、彼らが迅速に機外脱出出来るよう設計されていた。戦後、米軍はその性能を分析し、驚愕した。 書は「疾風」を世に生み出した中島飛行機と、そこで生きた人間の物語である。戦闘機について無知な私が、登場人物を通じて戦闘機の世界をはじめて知った。軍によるコンペティション(競争試作)が何度も行われ、そこで中島、三菱、川崎等の会社が競っていたこと。地上試運転で多くの命が失われたこと。戦局が不利になり物資が不足するなかでも、世界一の機体を作り上げていたこと。国民がどれほど戦闘機に夢を馳せていたのかということ。 昭和3年、最初のコンペが開かれた頃、三菱や川崎は飛行機だけでなく戦艦などの軍需物資も手がけていたため、

    世界一の戦闘飛行機を創った男『銀翼のアルチザン』 - HONZ
  • 『答えのない世界を生きる』 - HONZ

    いかなるビジネスであれ、ビジネスは人間と社会を相手に行うものである。そうであれば、僕は、人間と人間が創り出した社会の質を理解することがビジネスにとっては何よりも大切だ、と思っている。その意味で、小坂井敏晶著『社会心理学講義』(筑摩書房)は、ここ数年の間に出版されたの中では、最高のビジネス書と呼んで差支えがあるまい。 『答えのない世界を生きる』は、その著者の最新作である。著者の作品は、何を読んでも深く考えさせられるが、書も例外ではなかった。知的刺激に満ち満ちた素晴らしい1冊である。 書は、二部構成をとっているが、第一部は「考えるための道しるべ」と題して、「知識とは何か」「自分の頭で考えるために」「文科系学問は役に立つのか」という3章から成る。戦後の日アメリカに追いつき追い越すことが目標だったが、課題先進国となった現在ではどこにも目標とすべき国はない。これからの日は、自分の頭で考

    『答えのない世界を生きる』 - HONZ
  • あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』 - HONZ

    他人の心は、わからないものだ。 たとえ笑顔で話しかけてきても、こちらのことを殺したいほど憎んでいる可能性はいつだって存在する。自分以外のすべての人間に憎悪されている可能性について想像し始めるとめげてしまうが、実際のところそんなことはありえないわけで、だいたいの場合においてニコニコ顔は敵意のなさ、好意の証であるとみていいだろうと、普通はそう判断して会話をすることになる。 そうやって簡単に解釈できるシグナルがあればいいが、人生には対人関係の悩みがつきものである。あの人は自分のことが嫌いなのではないか? あの人は何を考えているのか? など、解釈が難しいケースは多々存在する。基的に人間は他者との関わりの中で生きていくしかないのだから「人間は対人関係を構築する時にどのように相手を見極め、評価しているのか」についての知識はあって悪いことはない。書『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理

    あなたは他者からどう見られているのか──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』 - HONZ
  • 『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』 - HONZ

    比較的簡単な手術のために、1週間でも入院すれば、現代医療の技術の高さに感謝せずにはいられない。だが生死に関わる病気にかかり、長い闘病生活を送るとなると、つらい治療に耐えねばならない患者人はもちろん、家族もさまざまな苦しみや不安を経験するはずだ。 そのいっぽうで、医療従事者の負担も大きい。毎日どれだけ多くの診療や手術をこなし、投薬を行なっても、患者は増え続ける。世界的に見ても、医療費が今後ますます増大することは明白だ。だからこそ、少数の良心的な医師や研究者たちは、病気の治療よりも予防が重要であると考え、医師たちはもっと栄養について学び、患者の生活の改善を指導すべきだと訴えてきた(が、その声がつねにかき消されてきた理由は、書に書いてあるとおりだ)。なぜなら、現代人のおもな死因は生活習慣病だからだ。そして、その最大の原因は私たちの生活にある。 生活習慣病が世界に蔓延したのは、第二次世界大

    『食事のせいで、死なないために もっとも危ない15の死因からあなたを守る、最強の栄養学』 - HONZ
  • 『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方文庫解説 by 橘 玲 『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けたのひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。13、4歳のガキと30代後半の大人では、経験も知識の量も圧倒的にちがう。どちらが正しいかは一目瞭然なのに、それを理解できないなんてバカなんじゃないのか、と思った。 しかしよく考えてみると、自分も親のいうことをまったくきかなかった。だとすればこれは因果応報なのだとあきらめたのだが、それでも謎

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ
  • 『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ

    もし、子育ての成功を定義できるのであれば、成功への道があるのならば、それを知りたいと思う人はたくさんいるはずだ。そして書は、子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化したである。 「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習科学と発達心理学の第一人者である2人の著者は明確な意図を持って、この挑発的なタイトルを設定している。その意図とは、知識を詰め込めば成功できるという時代遅れの思考回路から教育現場を開放し、新しい考えを広く伝えようとする強い情熱だ。書籍以外にも、ディズニー、レゴ、子供博物館などのコンサルタントを努め、最新の考え方を浸透させる行動をしている。背景にあるのは、アメリカの惨憺たる教育事情である。 世界各地で叫ばれ続けている教育改革、ビジョンや政策

    『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ
  • 『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る - HONZ

    国民総生産(GNP)が西ドイツを抜き、第2位になるのが1968年、その前年に書は出版された。高度経済成長期の真っ只中であり、急速な成長の裏返しとして公害や環境破壊が世間の注目を集め、公害対策基法が制定された。そこから版を80回以上重ね、現在までに80万部以上を売り上げている。 発想法とは、アイディアを創り出す方法である。問題提起から記録、分類、統合にいたるプロセスをすべてカバーしている。そのため、インタビューでメモする細かい実技から、書の核であるダイナミックにデータを統合する具体的な方法、さらに、方法論が生まれた背景にある日人の思考の癖、禅と発想法の関わり、西洋の「有の哲学」に対する東洋の「無の哲学」まで、話題の幅は広い。 幅広い内容に読者が混乱しないように、章ごとの冒頭に読者をガイドする図解がある。その図解自体が書で発想法の一部として紹介されているものである。書を読み通した後

    『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る - HONZ
  • 『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』みんながあっちで、自分はこっち - HONZ

    “If people aren’t calling you crazy, you aren’t thinking big enough.” (もしまわりの人から「クレイジー」と言われていないのなら、あなたは”まだまだ大きく考えていない”ということだ。) この『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』(原題:Crazy is a Compliment: The Power of Zigging When Everyone Else Zags)の冒頭に出てくる言葉は、ヴァージン・グループ創設者兼会長のリチャード・ブランソン氏が語った言葉のようだが、これが書の内容を端的に言い表している。要は、「みんながあっちに行くんなら、自分はこっちに行くと言えるようになりなさい」ということである。 2017年のビジネス書大賞準グランプリに輝いたリンダ・グラットン氏の『LIFE SHI

    『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』みんながあっちで、自分はこっち - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2017/07/13
    この「世界最大の起業家コミュニティ」であるエンデバーの日本拠点が、一般財団法人エンデバー・ジャパンである。
  • 『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』 ブラック・スワンは予測できないが、備えることはできる - HONZ

    グローバル化の深化に呼応するように、世界の不確実性が増している。大勢の予想に反してトランプ大統領が誕生し、未来永劫続いていくかと思われたシャープや東芝のような大企業までもが突如として存亡の危機に陥り、多くの人が憧れる花の都パリでも悲劇的なテロが発生した。当たり前のものと考えていた日常が、どれほど脆弱なものなのかを思い知らされる。ある日突然襲い掛かる不確実性に、わたしたちは無力なのだろうか。 このは、そんな不確実な世界を生き抜くための知恵を与えてくれる。その知恵とは、より多くのデータを集め、最新のAIを駆使し、より正確に未来を予測することではない。リスク研究の専門家である著者タレブは前著『ブラック・スワン』でも、 「重大で希少な事象のリスクを計算したり、その発生を予測することはできない」と喝破している。1000年に1度の大地震のように稀にしか起こらず致命的に大きな影響を与えるイベントは、予

    『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』 ブラック・スワンは予測できないが、備えることはできる - HONZ
  • 『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』 「言葉が分かるとはどういうことか」を人工知能から考える - HONZ

    なんという僥倖だろう。この人の新作をこんなにも早く目にすることができるなんて。しかも、今回の作品もこんなにも個性的で、こんなにも心地よいものであるなんて。 ご存知でない方のためにまず説明しておこう。著者の川添愛は、『白と黒のとびら』『精霊の箱』というふたつの作品で熱狂的なファンを生み出した言語学者である。ふたつの作品は、「オートマトンと形式言語」「チューリングマシン」をそれぞれテーマとしていて、それらの基礎を学べる内容となっている。 驚くべきはそのスタイルだ。どちらも、「魔術師に弟子入りした少年が苦難を乗り越えながら成長していく冒険物語」という形をとっているのである。読者は、主人公とともに遺跡を探索し、土人形を討伐しながら、形式言語やチューリングマシンについての理解を深めていく。いうなれば、RPG感覚で学べる入門書。そんながはたしてほかにあっただろうか。 さて、そして今回の『働きたくな

    『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』 「言葉が分かるとはどういうことか」を人工知能から考える - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2017/07/11
    いうなれば、RPG感覚で学べる入門書。そんな本がはたしてほかにあっただろうか。
  • 自閉症は増えているのか? 『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』 - HONZ

    ひとつの「謎」から話を始めよう。1970年代まで、アメリカにおける自閉症の推定有病率は数千人に1人であった。ところが、1980年代以降にその数は急増し、2010年のアメリカではおよそ68人に1人が自閉症(正確には自閉症スペクトラム障害)だと推計されている。この40年でその数は数十倍に膨らんでいるが、では、その「増加」はいったい何を意味するのだろうか。 じつはその「増加」は、自閉症研究の歴史と、社会の認識の変遷を如実に物語るものである。書は、研究の世界と社会一般において、自閉症がこれまでどのように扱われてきたのかを、丹念な取材と調査で明らかにし、ストーリー仕立てでわかりやすく紹介したドキュメンタリーである。 アスペルガーの先見とカナーの功罪 自閉症の研究は、1930年代から40年代にかけて、ふたりの人物の登場とともに始まった。その人物とは、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーと、アメ

    自閉症は増えているのか? 『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』 - HONZ