「正義の反対は悪ではなく、また別の誰かの正義である」という言葉があるが、それをまざまざと感じさせるインタビューだ。 日頃のニュース報道をどれだけ注意深く見ていたとしても、プーチンの実像など、なかなか見えてこない。元KGBの工作員であり、独裁者であり、言論の弾圧や人権の侵害でも、よく批判される。だが時に起こす大胆な行動に、世界は度々驚かされてきた。このミステリアスなプーチンの素顔に迫ろうと試みた映画監督ーーそれがオリバー・ストーンである。 作家と編集者、あるいはピッチャーとキャッチャー、力量の釣り合った者同士でないと、1+1を2以上にすることは難しいが、インタビュアーとインタビュイーの関係もまた同様である。オリバー・ストーンは、いわゆる政治と異なる世界の住人であるがゆえの大胆さと、数々の俳優とやりあってきたであろう執拗さで、被写体を丸裸にしようと試みた。 一方受けて立つプーチンも、したたかだ