ある大手メーカーの人事担当幹部は、ほっと胸をなで下ろした。昨年12月末、安倍政権が進める働き方改革の“一丁目一番地”とされる「同一労働同一賃金」のガイドライン案の詳細が明らかになり、産業界は最悪の事態を回避できたことに安堵している。 そもそも、同一労働同一賃金とは、同じ仕事に従事する労働者には同じ水準の賃金が支払われるべきとする概念のこと。もともとは男女差別をなくす目的で生まれた考え方だが、今回のガイドライン案では、雇用形態による不合理な待遇差をなくすことを目的としている。いまや日本の雇用者の4割が非正規労働者で占められており、まずは、同じ企業内で働く「正社員」と「非正規労働者」との間にある理不尽な差別を解消していこうというものだ。 政府とて、気合が入っていなかったわけではない。2017年度政府予算では、企業への助成金など同一労働同一賃金関連だけで約600億円もの巨費を投じる。 ガイ
沖縄の反基地感情が強くなると、決まって出てくる言説である。今回の女性遺体遺棄事件でも、安全保障サイドは、「中国は沖縄を狙っている」と言い出し、特に海兵隊を擁護する「米陸上戦力がいなくなると沖縄は軍事力の真空となる、そこに中国が侵攻してくる」といったものだ。 だが、その根拠となる見積もりや判断が示されたことはない。「なぜ中国が沖縄を侵攻するのか」「中国は対日戦を決意できるか」点の説明はない。結局は、宿命的に「絶対、攻めてくる」といったものでしかない。だが、駐留米軍がいなくなったところで、中国は沖縄に攻めてくるわけではない。その理由は次のとおりである。 ■ 中国の進出方向ではない まずは中国にとって進出方向ではない点である。このため具体的に侵攻対象となるものではない。 沖縄は中国が権益を伸ばす方向にはない。現在、中国が政治・経済・軍事力を注いでいるのは南シナ海である。そして将来的な発展
明治以降の皇族方では最長老の「大(おお)殿下」こと三笠宮崇仁親王殿下が、12月2日に100歳を迎えられた。戦後、軍人から学者へと転じた昭和天皇の末弟は、まさに激動の一世紀と向き合われてきたのだが、そこで思い出されるのは、皇族らしからぬ「斬新なお言葉」の数々……。 *** 数年前から心臓の弁に異常がみられた三笠宮さまは、2012年6月、長男の寛仁親王の葬儀に参列された翌日に体調を崩して入院。「鬱血性心不全」と診断され、手術を受けられたものの、現在は92歳になる百合子妃ともども、元気なお姿を見せられている。 11年10月にご結婚70年を迎えた際には、次のような「ご感想」を寄せられていた。 〈結婚のとき、私は陸軍大学校の学生だった(中略)間もなく戦争となり、厳しい生活が始まった。陸大の研究部部員を務めた後、私は支那派遣軍総司令部の参謀として南京に赴任した〉 〈帰国後、大本営の参謀などを
いま世界で最も刺激的、かつ注目される経済学者トマ・ピケティが、フランスからやってくる。弱冠43歳のパリ経済大学教授だ。彼の新著『21世紀の資本』の英語版は700ページを超す学術書にもかかわらず、たちまちアマゾンの総合売り上げランキング1位に躍り出た。現在までに世界十数か国で累計100万部を突破。昨年末に発売された日本語版も13万部に迫っている。 【詳細画像または表】 ■ ピケティは1月29日に初来日 そのピケティがいよいよ今週1月29日(木)に初来日を果たす。異例のベストセラーを背景にNHK番組『パリ白熱教室』などメディアへの露出は過熱しており、日本での講演はすべて予約満席の状態だ。はたして彼が日本で何を語るかを注目する人も多いだろう。 東洋経済は2014年夏、パリ経済学校にある彼の研究室で単独インタビューを実施し、その模様は週刊東洋経済2014年7月26日号に大きく掲載した。一方、日
正社員のクビをなかなか切れない日本企業では、あの手この手の退職勧奨が発達した。時代とともに「進化」したその手法とは。 ■ターゲットは「おとなしいタイプ」 長年労働相談と向き合う東京管理職ユニオン執行委員長の鈴木剛氏は、リストラ手法の変遷をこう振り返る。 「昔から中高年を窓際に追いやり仕事を与えない例はありました。バブル崩壊後の1993年には、それまでの仕事を取り上げ、1日中モノを箱に詰めたり、お茶がらを集めて回ることをさせたりした。当時は窓際に隔離すると同時に降格と賃金ダウンをしていた」 もっとも、この手法、今は行われていない。「最重要の労働条件の一つである賃金を本人の同意なしに下げると、裁判になれば違法と判断されて敗訴する可能性が高いからです」(鈴木氏)。 一方、ここ数年で明らかになったのが、業績不振の電機大手が社内に設けた「追い出し部屋」の存在だ。指名を受けた人が「事業・人材
元自衛隊空将が証言、UFOが福島第一ほか原発周辺で多数目撃されていた! 週プレNEWS 12月26日(金)6時0分配信 2010年夏、自衛隊員の間で一冊の本が話題となっていた。航空自衛官の最高位である元空将の佐藤守氏が上梓した『実録・自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO』(講談社)である。 何人もの自衛隊パイロットたちが実名でUFOとの遭遇体験を告白する内容に衝撃を受けた本誌は当時、緊急インタビューを敢行した。 佐藤氏は、その後も人知れず独自にUFO情報を取材。そしてついに「ある結論」にたどり着いたのだという。4年ぶりのインタビューに際し、佐藤氏はこう断言した。 「やはり、日本の上空にUFOはウヨウヨいます!」 * * * ―この4年間、さらに地道な取材を続けた結果、UFOの存在について確信を深めたということでしょうか。 佐藤 まず、「UFO」とは宇宙人の乗り物だけを表す言
---------- 治癒不能といわれたガンが自然治癒する現象が、実際の医療現場で話題になることはまずない。 しかし筆者が目を通した1000本以上の医学論文において、ガンが自然に治癒した事例を報告していた。医師は治すのが仕事なのでこうした事例を追跡研究することはなく、「たまたま」治ったという話は「偽りの希望」を与えるだけだとして積極的に口外することもなかったために、自然治癒事例は事実上放置されてきたのである。全く科学的にメスを入れられていないこのテーマを解明するために、「劇的な寛解」事例を報告した医学論文をくまなく分析し、日本を含む世界10カ国で寛解者と治療者のインタビューを行った結果、ガンの自然治癒を体験した人々には、「9つの共通する実践事項」があった。それらは、がんの治癒のみならず、予防としても役に立つものである。発売と同時に米アマゾン1位“がん部門”にランクイン、ニューヨーク・タイ
2月9日の東京都知事選で圧勝した舛添要一新都知事(65才)だが、かつては女性蔑視発言が問題視されたこともある。 「彼の歪んだ女性観が表れていますね。“永田町一のモテ男”ともいわれる舛添さんですが、これまでも数々の女性を悲しみのどん底に落としてきました…」(ある衆議院議員) 1978年、ヨーロッパ留学中に出会ったフランス人女性と最初の結婚をした舛添氏。しかし、わずか3年で離婚、1986年に当時大蔵省(現・財務省)に勤務していた片山さつき参議院議員(54才)と再婚する。 その結婚生活は、前出の女性蔑視発言を地で行く、地獄のようなものだったという。 「結婚当初こそ平穏な日々が続きましたが、2か月もすると舛添さんは豹変したそうです。大蔵省の激務を終えた片山さんが夜遅くに帰宅すると、“女のくせに遅く帰ってきやがって!”と突然激昂し、周囲にあるモノを手当たり次第に彼女に投げつけたそうです」(全
「ノバルティス ファーマの対応は、あまりにも不誠実だ。信用できない」――。 降圧剤「ディオバン(一般名:バルサルタン)」の5大学の臨床研究で、論文作成にノバルティスの社員(現在は退職)が製薬会社社員の身分を隠して統計解析に関与していた問題について、ある大学病院に勤務する内科医は激しい憤りを感じている。 【詳細画像または表】 そう思われても仕方がないほど、ノバルティスの対応は、常に後手後手に回ってしまっている。 京都府立医科大学の論文内容に疑義が生じ、国内外の学会誌から撤回された直後、ノバルティスは今年2月の記者会見で、経営陣は「医師主導の治験であったから、ノバルティス側がデータに直接関与することはできなかった」と述べた。 その後、その元社員がデータ解析に関与していた事実が発覚したのは、周知の通り。 加えて、7月11日の京都府立医科大、7月30日の東京慈恵医科大学による調査結果の発
11月6日、本誌記者は東京電力による『現場公開』の合同取材のため、福島第一原発に入った。報道陣に公開されたのは4号機原子炉建屋。水素爆発を起こした建屋の修復やがれき処理が終わり、核燃料の取り出し、共用プールに移す作業が11月中旬から始まる。 その燃料貯蔵プールは、まるで地底湖のように青く、妖しい光を放っていた。濁りのないプールの底には核燃料が整然と。神秘的にさえ感じたが、水がなければ一瞬で死亡するほどの放射性物質を放出する核燃料であることを思い返したら、身震いがした。 今回公開されたのは4号機のほか、6号機原子炉建屋、汚染水漏れ事故を起こした『汚染水タンクエリア』、汚染水から放射性物質を除去する『多核種除去設備』。すべて3時間の取材行程だった。 6号機建屋からバスに乗り込むときに不思議な光景を見た。防護服を着込んだ報道陣のバスの横を2人組の中年男性が、普通のマスクに作業着姿で歩いてい
現職市長の「堺を無くすな!」キャンペーンに、地元出身のサッカー界のドン、川淵三郎も登場。百人力か。 -- 堺市長選は激戦の真っ只中だ。大阪市と堺市を解体再編し、大阪府と一体化して支配しようとする維新の野望「大阪都構想」に、現職市長が先頭に立って、真っ向から抵抗している。 橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)率いる大阪維新の会は「大阪都構想の負け」「維新の負け」を、何としても阻止しようと総力戦で臨んでいるが、容易ならざる状況だ。 まだ維新が上り調子だった昨年8月、与野党が揃って、大阪都構想に道を開く「大都市地域特別区設置法」を成立させた。あれから1年。維新の勢いは萎み永田町の大阪都構想への関心は薄れたが、維新の苦戦ぶりに「改憲」の行方や「野党再編」の思惑も絡んで、堺市長選の注目度が俄然高まっている。 ■公明票も大半は「竹山支持」 9月29日の堺市長選は、「大阪都構想反対」を唱え
個人の主義主張とは別に、反対であれ、賛成であれ公正な議論こそが重要であると考えているが、今回の消費税の集中点検会合の人選はあまりにも偏向しすぎではないか。特に最終日の8月31日の第2回目の経済・金融の有識者の会合のメンバーに、増税そのものへの反対を明確に唱える人は1人もいなかった。 参加した有識者と消費税に対する主な見解を紹介すると、植田和男氏(東京大学教授)「消費税25%でも不十分」、菅野雅明氏(JPモルガン証券)「消費税20%への段階的引き上げをコミットすべき」、國部毅氏(全国銀行協会) 「消費税率は計画通り引き上げることが大事」、高田創氏(みずほ総合研究所)「消費税引き上げ見送りで財政規律への不安」、土居丈朗氏(慶応大学教授)「10%は当たり前。15%ぐらいの数字まで段階を踏んで上げていく」、西岡純子氏(RBS証券)「増税自体は個人消費を抑圧する要因にはならない」、本田悦朗氏(静
今年4月から改正労働契約法が施行される。目玉は、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、無期労働契約に転換できる「5年ルール」だ。対象は、契約社員やパート、アルバイト、派遣、嘱託などの有期契約労働者(派遣社員は派遣元との労働契約が対象)。1年契約を繰り返して更新しているケースなら、5回目の更新後に無期転換の権利が発生する。契約期間中に労働者が申し込めば、契約期間終了後に無期労働契約に切り替わる。今年4月以降に結ばれた有期労働契約に適用されるため、5年ルールで無期転換する人が現れるのは2018年4月以降だ。 正社員として働きたくても働けなかった非正規労働者にとって、5年ルールは心強い味方だろう。ただ、ここにきて意外な問題が浮上している。5年ルールにより、企業が正社員を一生雇わなくてはいけなくなる可能性が指摘されているのだ。 これには今年4月から施行される改正高年齢者雇用安定
事故で世界中が破滅...... 福島第一原発4号機に危機感を募らせる国際社会 週刊朝日 5月9日(水)7時9分配信 5月5日、北海道電力泊原子力発電所3号機が停止し、国内全50基の原発が停止した。しかし、これで安心といったわけではなく、福島第一原発4号機の危険性を世界が危惧している。 米上院エネルギー委員会の有力メンバーの一人、ロン・ワイデン議員は4月6日に福島第一原発を視察。その後、16日付で4号機の原子炉建屋が再び大きな地震や津波に見舞われれば、使用済み燃料プールが崩壊し、「当初の事故より大規模な放射性物質の放出が起こる恐れがある」と警告した。 さらに、ニュースサイト『ハフィントン・ポスト』は、4号機のプールにある核燃料棒が冷却されずに放射能が放出された場合、そこから出るセシウムの総量は、チェルノブイリ事故で出た量の少なくとも10倍になる、との専門家の分析を紹介した。 これほどま
■優秀な社員ほど社外活動を始めている 昨年3月の東日本大震災以降、私が主宰する「週末起業セミナー」の参加者が急増している。一昨年のほぼ倍の人数である。週末起業とは、会社員でありながら余暇を利用して起業することで、リスクを抑えつつ事業を始められる方法だ。 以前は、「いつか起業したい」という夢を抱きながらセミナーに参加する人が大半だった。現在はもっと切羽詰まった雰囲気で、不況に円高や電力不足、増税の不安定要素が重なり、「いつクビになってもおかしくない」「会社がなくなるかも」と、多くの人が会社生活に不安を抱えている。また、帰宅難民などの体験で、「家族の近くで働きたい」「やりたいことを先延ばししているうちに死ぬかもしれない」という現実にも気づき始めた。 会社での成績が上位2割層に入るような優秀で問題意識が高い人ほど、現状に強い危機感を持ち、週末起業などの社外活動を開始している。企業の耐用年数
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