この「無縁坂」は、さだまさしが23歳の時(1975年)にグレープの6枚目のシングルとして発表した楽曲である。 東京都文京区湯島4丁目に実在する坂を舞台に、年老いた母に対する息子の想いが歌詞に綴られている。 この何か意味ありげな名前を持つ坂。 一体どんな坂なのだろう?そして、この歌はどんな経緯で紡がれた歌なのだろう? ──東京・上野の不忍池(しのばずのいけ)を背に、本郷方面へと歩くと東西に延びた200mほどの坂道がある。 南側には三菱財閥の創設者である岩崎家の石垣が続く。 北側には火事の多かった江戸の町から今なお現存している防火建築漆喰(しっくい)造りの講安寺や、東大医学部が広がっている。 その坂はかつてここにあった寺の名前(無縁寺)に由来して“無縁坂”と名付けられたという。 江戸時代の地図にもその名が残っている坂である。 明治の文豪・森鷗外の小説『雁』は、この界隈を舞台にしていて、主人公の
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