造血幹細胞とは、T細胞やB細胞といった体を守る免疫細胞のほか、赤血球や白血球などのもとにもなる細胞です。ドイツ・ウルム大学のハームット・ガイガー博士は、骨芽細胞の出す「オステオポンチン」というホルモンに、"造血幹細胞の機能を若く正常に保つ働き"があることを論文で発表しました。博士は実験で、マウスから取り出した造血幹細胞にオステオポンチンを加えたものと、加えていないものを用意し、それぞれを同じ条件のマウスに移植しました。すると5ヶ月後、オステオポンチンを加えたマウスでは、免疫細胞の量が、加えていないマウスの倍近くにまで増加していました。ということは、その逆にオステオポンチンがなくなると、大事な免疫細胞の量が減ってしまうと考えられるのです。ガイガー博士は「高齢者の死因の多くは感染症や肺炎などです。老化とともに免疫力が低下し、病原菌やウイルスと戦う力が低下するためです。その免疫力の低下に、オステ