「顧客の声を商品企画に反映させます」 「お客様に愛される企業を目指します」 メーカーの経営トップからこうした顧客志向を重視した経営方針がよく聞かれます。確かに過去には顧客のニーズとかけ離れた製品開発を行い、失敗したこともありました。例えば、空気清浄機の付いたテレビやネットを介した遠隔操作が可能なスマート家電など、利点は良くわからないし、誰に売ろうとしているのかよくわかりませんでした。 では、商品開発で徹底的に顧客の言うことを聞いていれば良いのかと言うと、もちろんそうではありません。まず、顧客が新商品のあるべき姿を必ずしも知っているわけではありません。例えば自社が部品メーカーで顧客がセットメーカーである場合、顧客は現在手に入る半導体などの部品、今ある技術を基に新商品を考えがちです。全く新しい機能を有する半導体を使って、どのようなセットができるかを聞いたところで、なかなか答えは返ってきません。