緑色は、真菌のアルスロボトリス・オリゴスポラ(Arthrobotrys oligospora)が、線虫をおびき寄せて捕獲する「わな」。灰色の糸のような線は菌糸体で、菌糸をつくる糸状菌は一般に「カビ」と呼ばれている。(PHOTOGRAPH COURTESY YEN-PING HSUEH) 飢えの苦しみから逃れるため、手も足もない菌に何ができるのだろう? 驚くべきことに、捕食者に変身する真菌がいる。アルスロボトリス・オリゴスポラ(Arthrobotrys oligospora)だ。 A. オリゴスポラはほとんどの場合、枯れ葉などを分解して日々をしのいでいる。しかし、栄養不足に陥ると肉食性になり、無防備な線虫を捕食するのだ。 とはいえ、ほかの捕食者と異なり、獲物を追い掛けることはできない。11月21日付けで学術誌「PLOS BIOLOGY」に発表された研究は、A. オリゴスポラが進化させた巧妙な